おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『秋日和』 赤瀬川隼 赤瀬川違い

      2016/01/24

最近読んだ本010

『秋日和』(文庫) おすすめ度☆☆☆

赤瀬川隼(作家別索引) 光文社文庫 2005年10月    

おすすめポイントを百文字で

こんなことってあるのという意味でちょっとファンタジーが入っていて、でも結末はほろ苦い。上品な文章で書かれていて読みやすいです。微妙に純情なおじさんたちの恋愛短編集。疲れているときに読むといいかも。

 

 

あらすじ

仕事にも私生活にも張りを失った日々を送る富永重雄。手に入れた自由な時間は持て余すばかり。二十数年ぶりにフルートを吹きたくなった彼は、ピアノを弾くという楽器店の店員、明美と親しくなる。ふいに芽生えた新たな恋心に戸惑いながらも、彼女との合奏のために練習に打ち込んでいく……。(シチリア舞曲)切なくほろ苦い、再びのときめき。男達を応援する十の物語。(作品紹介より)

 

 

赤瀬川違い

前に紹介した『新解さんの謎』の赤瀬川さんの作品と思って買ったのですが、これが赤瀬川違い。新解さんは芥川賞作家の赤瀬川原平、こちらは直木賞作家の赤瀬川隼です。でも、この二人兄弟なんです。兄弟で、芥川賞と直木賞って凄いな。

 

方向性は違えど二人とも面白いので他の作品も読んでみたいですね。

 

 

ほろ苦ファンタジー

十編の短編からなるこの作品。大半の物語が四十代、五十代の男と三十前後の女の子淡い恋愛を男性支視点で書いています。 私は三十六歳の男なんですが、この話を読んでさすがにちょっとファンタジー入っているかなって思いました。

 

十歳以上年下の綺麗な女性とちょっとときめくような出会いなんて、なかなかないのでは。まして、男性は普通のおじさんの設定です。ただ、結末はわりとほろ苦いのが多いのです。恋愛が成就してしまうと、生々しくなってしまうというか、どうしてもその後の展開も考えてしまいます。けど、この作品はうまくいかないからこそ、さらりと上品で切ない作品になっていると思います。

 

この作品を読んで弘兼憲司さんの『黄昏流星群』を思い出しましたが、こちらの方が大分上品で、生々しさが少ないと思います。

 

 

微妙に純情なおじさん

多くの短編主人公に共通しているのが、微妙に純情なところです。

重雄の第一印象が明美にとって歓迎できないものであれば、「私でよければいつでも」などとは言わないだろう。ということは、明美はあの日の初対面のやりとりで、重雄に好感を持ったと思っていい。いや、好感以上のなんらかの好意を抱き、それを言動で示したのだ。そこまで想像して、重雄はようやく自惚れを抑えた。(P17~18)

楽器店でフルートを買った主人公重雄は、思い切って店員の明美に合奏を依頼します。上の文は「私でよければいつでも」といわれた時の重雄の気持ちです。

 

ちょっとかわいく思えてしまいます。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

品のある文章で書かれた短編で、わりとするする読めます。うまくいかないこともありますが、恋愛にがんばってるおじさんを見てちょっと癒されます。疲れてるときにどうぞってことで、星三つです。 

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