おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『ジウⅢ新世界秩序【NWO】』 誉田哲也 ハードルは越えられたか?

   

最近読んだ本025

『ジウⅢ新世界秩序【NWO】』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

誉田哲也(作家別索引

中公文庫  2009年2月

サスペンス 警察(ジャンル別索引

 

ジウⅠ警視庁特殊犯捜査係【SIT】』『ジウⅡ警視庁特殊急襲部隊【SAT】』のネタバレがあります。先に『ジウⅠ・Ⅱ』を読んだほうがいいかもです。

 

 

おすすめポイントを百文字で

予想外の大規模な事件が起きて驚かされます。荒唐無稽のようで、現実に起こるかもと思いました。『Ⅰ・Ⅱ』で広げられた風呂敷は回収されますが、ドンパチだけでなくもっと思想的な所も掘り下げて欲しかったです。

 

 

あらすじ

新宿東口で街頭演説中の総理大臣を標的としたテロが発生。大混乱の中、伊崎基子らSAT隊員が総理の身柄を確保し、警察上層部は安堵する。だがそれは、さらなる悪夢の始まりに過ぎなかった。“新世界秩序”を唱えるミヤジと象徴の如く佇むジウ。彼らの狙いは何なのか?そして美咲と基子は ――!?シリーズ完結篇。

 

 

クライマックスの事件

物語のクライマックスは新宿で起きる大規模なテロ事件です。ネタバレになるので詳細は伏せますが、思いもよらないスケールのでかい事件が起きます。スケールがでかすぎて荒唐無稽に思えますが、数百人規模の仲間がいれば実現できなくもない気がして怖いです。

 

作中でも警察が色々対応策を検討していますが、人質をたてにされると厳しそうです。数週間程度ならいけないかなって思ったりしました(特殊部隊の隠密行動で首謀者暗殺とかありならきびしそうですが)。

 

ただ、思いよらない大規模な仕掛けで驚かしてはもらえましたが、『Ⅱ』でミヤジが提唱した「新世界秩序」の思想的な部分や、権謀術数的な暗躍のシーンがもう少し欲しかったなって思いました。ダークで得体の知れないイメージが膨らんでいたので、あっさり暴力に訴えないで、政治家や警察官僚を「新世界秩序」の思想に洗脳して影から支配するみたいな感じでも良かったのではと思いました。

 

 

ダブル主人公の行く末とジウ

門倉美咲には東。ジウにはミヤジ。それぞれ安定した相棒がいますが、伊崎基子は『Ⅰ』で雨宮『Ⅱ』で木原、『Ⅲ』でまた新たな人物とコンビを組みます。『ジウⅡ警視庁特殊急襲部隊【SAT】』の感想の中で二人の主人公の運命がねじれてしまったと書きましたが、伊崎の三人目の相棒のおかげで二人の運命は完全に引き裂かれてしまいます。

 

肉体的には強靭な基子ですが、最後まで相棒の存在に翻弄されてしまいます。はじめは美咲に比較的強化していましたが、最後のほうは翻弄されまくる基子を同情してしまいました。

 

最後の最後で二人は出会い、相棒として行動します。ちょっとグッと来ました。

 

ジウに関しては終章で美咲があいかわらずの甘ちゃん視点で事件を起こした動機の解釈をしていますが、個人的にはいらないかなって思いました。ジウに関してはまったく心情が描写されていないので、甘ちゃん的な解釈ならそのまま解釈は無しで終わっても良かったかなと。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

『Ⅰ・Ⅱ』で広げられた風呂敷はしっかりと回収されていますが、たたみ方に関してはちょっと不満が残りました。『ヒトリシズカ』のときも思いましたが、前フリの得体の知れなさの割りにあっさり終わる感じが、私には肩透かしを食ったように感じてしまいます。

 

ただ、色々な因縁がしっかり回収されていますし、スケールのでかい極上のエンターテイメントだと思うので、星四つです。

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