おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『ジウⅡ警視庁特殊急襲部隊【SAT】』 誉田哲也 ハードル上がってます。

   

最近読んだ本024

『ジウⅡ警視庁特殊急襲部隊【SAT】』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

誉田哲也(作家別索引

中公文庫  2009年1月

サスペンス 警察(ジャンル別索引

 

ジウⅠ警視庁特殊犯捜査係【SIT】』のネタバレがあります。『ジウⅠ』を読んでない人はこの記事は読まないほうがいいかもです。

 

 

おすすめポイントを百文字で

相変わらずの読みやすさ。新たな登場人物と謎の思想〈新世界秩序〉が、物語の闇を深くしてくれます。『Ⅰ』で相棒を失った基子と失わなかった美咲の運命のねじれも印象的です。『Ⅲ』も即読みます。ちょいグロです。

 

 

あらすじ

連続児童誘拐事件の黒幕・ジウを威信にかけて追う警視庁。実行犯の取り調べを続ける東警部補と門倉巡査は、〈新世界秩序〉という巨大な闇の存在に気づき、更なる事件の予兆に戦慄する。一方、特進を果たした伊崎巡査部長は特殊急襲部隊を離れ、所轄に異動したが、そこにも不気味な影が迫っていた。 (作品紹介より)

 

 

読みやすさと謎の人物

前回『ジウⅠ警視庁特殊犯捜査係【SIT】』を紹介した中で、作者の誉田さんの特徴として文章の読みやすさと謎めいた人物の書き方が上手いといいましたが、今回もその特徴がしっかり見られます。

 

文章の読みやすさは相変わらずで、400ページと結構なボリュームですがさくさく読めてしまいました。

 

また、今回の新たに登場した人物が、前回登場した「ジウ」とはまた違った形で物語の謎を深めてくれます。物語の前半では、本筋とは違う時系列で、この人物の壮絶な生い立ちが書かれています。読み進めながらこの人物は一体どういった形で物語に絡むのか、期待を膨らましながら読んでしまいます。

 

物語の後半でやっと本筋に絡みますが、ジウと共にどういった形で世界を動かすのかそれは謎のまま、次の巻に持ち越されます。ちょっと焦らしすぎかなとも思いますが、焦らしたぶん期待にこたえてくれると信じて、次の巻も読みたいと思います。

 

あと、これももしかしたら誉田さんの一つの特徴かもしれませんが、この作品、血がドバッと出るといった意味合いで、ちょっとグロいシーンがあるので苦手な人は注意が必要です。

 

 

新世界秩序

今回のキーワードにして次の巻のサブタイトルです。「新世界秩序」とは誘拐犯たちが信じる既存の思想というかイデオロギーで、既存の愛や倫理観を疑い否定する考え方です。私のつたない言葉で説明するとなんだか中二病みたいですが、作品の中に興味深い例があったので紹介します。

「じゃあ一般企業の営業マンがなぜ締めているのかというと、ネクタイをしている方が礼儀正しく見えるからだ。あるいは礼儀正しいとされているからだ。(中略)……ネクタイの柄のバリエーションを数えたら、おそらくとんでもない数値になる。そこまでの労力を、あるいは国力の一部を、実質的機能をまるで持たないその布キレに傾ける理由とはなんだ?……これでも、変だとは思わないか?その裏にどんな意思がるのか、そんなふうに考えたりはしないのか?」(P193~194)

これは「新世界秩序」説明しようとした誘拐犯が挙げた一つの例ですが、こういった既成概念を疑う考え方は個人的には好きですね。

 

残念ながらというか、当然というか「新世界秩序」の全容も次の巻に持越しです。期待させます。

 

 

ダブル主人公の行く末

『Ⅰ』からすでにその兆候がありましたが、伊崎基子の危うさが相棒の雨宮を『Ⅰ』の最後で失ったことで顕著になっています。一方で門倉美咲の相棒の東は大怪我はしたものの生き残り、門倉美咲と共にジウを追います。

 

『Ⅰ』では二人の主人公は袂を分かっているだけでしたが、『Ⅱ』では、相棒の生死の違いによって、二人の運命がねじれてしまったような気がします。『Ⅲ』で二人の関係にも決着がつくと思いますが、私にはきれいな着地点が予想できなくなってしまいました。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ 

全ての決着は最終巻の『Ⅲ』に持越しです。ちょっとハードルが上がりすぎてる気もしますが、いい感じで乗り越えてくれるのを期待しつつ星四つです。

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