おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『しをんのしおり』 三浦しをん ある意味危険物

      2016/01/26

最近読んだ本015

『しをんのしおり』(文庫) おすすめ度☆(ジョーカー的な意味で)

三浦しをん(作者別索引) 新潮文庫 2005年11月

 

 

おすすめポイントを百文字で

とんでもない妄想や愉快な友人など、とにかく笑えるエッセイです。ただ、くだらない考察に垣間見える切れ味はさすがです。試し読みをして好みに合うか合わないかを見極めてから買うべき本だと思います。

 

あらすじ

「漫画の王国」に生まれ小説家の乙女な日常生活。バンドを追っかけ上方へ、愉快な仲間と朝まで語り、湧き上がる妄想の楽園に遊ぶ……色恋だけじゃ、ものたりない!なぜだかおかしな日常はドラマチックに展開――日本の政局も、家族の事件も、人気のTVドラマも、考え始めたらいつのまにかヒートアップ!「読んで楽しく希望が持てる」、笑い出したら止まらない、抱腹微苦笑ミラクルエッセイ。

 

 

面白いエッセイの要素

私は面白いエッセイの要素ってふたつあると思います。一つ目はなるほど、そうきたかと読者を感心させる「切れ味」。もうひとつは素直に笑っています「笑い」です。古典の『枕草子』は完全に「切れ味」で勝負するエッセイですし、『徒然草』は「笑い」の要素が多めですね。

 

以前紹介した万城目さんの『ザ・万遊記』は「笑い」多めですが、北朝鮮の話で「切れ味」を発揮しています。

 

このエッセイの要素で今回の『しをんのしおり』を分析すると「笑い」9「切れ味」1って言えそうです。ただ、「笑い」の部分の総量が多いだけで、ちょいちょい発揮される「切れ味」さすがのものがあります。

 

妄想力と切れ味

さて、そんな私が最近していることはといえば、「理想の高校生活づくり」だ。これはどういうものかというと、制服のデザインとか時間割とかクラス名簿および人間関係相関図とか校舎内見取り図とかを勝手に制作し、自分の頭の中で理想の高校生活を築き上げよう、という遊び。参加者はいまのところ俺一人。(P37)

うん、アホでしょう、この人。でも、個人的には大好きです。

 

作者の友人もなかなか強力な人が多く出てきます。通りがかりのフランス料理店の厨房の中に四人の男性が見えると、すかさず三浦さんと友人でBL(ボーイズラブ。男性同士の恋愛)風の人間関係を妄想していたりします。

 

こんなふざけているとしか思えないエッセイの中に、時たま、さすが作家さんの観察眼と思える「切れ味」のある文章もあります。宝塚と漫画家の樹なつみさんの作品を比較した際に宝塚に関して

 

「体制の中にいる人間が体制外の人間に選ばれ、恋によって体制外(もしくはもう一つの体制の中)に飛び出していく」(P161)

と分析しています。なるほど、思わされました。「ベルばら」にしろ「ロミオとジュリエット」にそういうことなのかなって素直に納得させられました。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

私がマンガ好きで、作中で取り上げられているマンガを読んだことがあったりして共感できることも多いです。また、くだらないも妄想が個人的にはかなりツボなので星五つとかしたいところですが、笑いのツボは合う合わないがバッサリと分かれると思うのでジョーカー的な意味で星一つです。

 

必ず試し読みして、自分に合うか確かめてから購入するのおすすめします。あと、電車で読むのは危険です。笑っていますので。電車に危険物は持ち込まないでください。

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