おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『有頂天家族』 森見登美彦 阿呆の血のしからしむるところ

      2017/04/18

最近読んだ本011

『有頂天家族』(文庫) おすすめ度☆☆☆☆

森見登美彦(作者別索引) 幻冬舎文庫 2010年8月    

『有頂天家族 二代目の帰朝』の感想はこちら

おすすめポイントを百文字で

狸に天狗に人間に魅力的なキャラが入り乱れたドタバタコメディと思いきや、突然の家族愛、いや狸族愛にグッと来ます。ちょっぴりブラックな所もあって、単なるおふざけとは、一線を画しているのもいい感じです。

 

 

あらすじ

「面白きことは良きことなり!」が口癖の矢三郎は、狸の名門・下鴨家の三男。宿敵・夷川家が幅を利かせる京都の街を、一族の誇りをかけて、兄弟たちと駆け廻る。が、家族はみんなへなちょこで、ライバル狸は底意地悪く、矢三郎が慕う天狗は落ちぶれて人間の美女にうつつをぬかす。世紀の大騒動をふわふわの愛で包む、傑作・毛玉ファンタジー!(作品紹介より)

 

 

魅力的なキャラクター

前に紹介した『夜は短し歩けよ乙女』の森見登美彦さんの作品です。この作品も森見さんらしいふざけたストーリー(いい意味で)と魅力的なキャラクター満載です。

 

主人公である狸の矢三郎の母親は宝塚の大ファンで、宝塚風の美少年に化けてビリヤード場に通っており、人間界と狸界合わせて「黒服の王子」とよばれています。 雷が嫌いなおっとりしたお母さんってな感じですが、主人公の父親が狸鍋!にされたときは

「お父さんは立派な狸だったのですから、悠々笑って、ミゴト美味しい鍋になってみせたでしょう。あなたたちもそんな狸にならなければいけません。金曜倶楽部の鍋なんぞ鼻で笑ってあしらえる、器の大きな狸におなりなさい。お父さんのようにおなりなさい。けれども、それを実地にためすことはないのですよ。」(P100)

お母さんが要所要所でいい味出してます。

 

主人公の兄の矢二郎は六道珍皇寺の古井戸に蛙に変身して何年も引きこもっています。ずっと蛙に変身し続けていたため、狸に戻れなくなってしまいました。ずっと狸界から忘れられていたのですが、いつの間にか誰彼となく古井戸に来ては、人生相談をされるようになってしまいました。ここまででもキャラとして魅力的というか、十分面白いのですが、彼には後半徐々に明かされるのですが心に深い闇があったりします。

 

おふざけ一辺倒ではなく、ちょっぴりブラックな部分あるおかげで物語に深みがでています。

 

 

ふざけているようで深みもあるストーリー

ストーリーの軸は数年前に狸鍋にされた父親のあとをついで、京都狸界を束ねる偽右衛門の座をライバルの夷川家と争うというもの。 ただ、争いはそこだけにはおさまらず、「金曜倶楽部」なる人間の団体が、忘年会で恒例の狸鍋の材料を探しているのです。

 

この金曜倶楽部の狸鍋、主人公の父親が数年前に具材になっているのです。 この狸鍋の存在が物語に緊張感というか、スパイス的なものを加えてくれます。これがなかったら単なるおふざけ物語になってしまい、最後まで読むのがつらかったかもしれません。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

魅力的なキャラとふざけたストーリーでクスリと笑いつつも、ちょっぴりブラックな話もあり、狸族愛もありってことで、星4つです。

『有頂天家族 二代目の帰朝』の感想はこちら

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