おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『こっちへお入り』 平安寿子 そうだ寄席に行こう

      2016/01/24

最近読んだ本009

『こっちへお入り』(文庫) おすすめ度☆☆☆

平安寿子(作家別索引) 祥伝社文庫 2010年10月    

おすすめポイントを百文字で

何かにはまるときの高揚感というか、ドライブ感が良く書けていてなんだか気持ちがよいです。また、古今東西の落語家の特徴や、同じネタでの表現の比較が面白かったです。とりあえず志ん朝の落語が聞きたい。

 

 

あらすじ

吉田江利(えり)、三十三歳独身OL。ちょっと荒んだアラサー女の心を癒(いや)してくれたのは往年の噺家(はなしか)たちだった。ひょんなことから始めた素人落語にどんどんのめり込んでいく江利。忘れかけていた他者(ひと)への優しさや、何かに夢中になる情熱を徐々に取り戻していく。落語は人間の本質を描くゆえに奥深い。まさに人生の指南書だ!涙と笑いで贈る、遅れてやってきた青春の落語成長物語。

 

 

なにかにはまる時

何かにはまるときの高揚感がいい感じに表現されていて、こちらまで気分が良くなります。

 

落語のことを考えている主人公が

声を殺してムフムフ笑っていると、不思議や、ありとあらゆる腹立ちが消えるのである。 この感じ、ちょっと、恋の初めに似ている。(P50)

この表現が個人的には刺さりましたね。恋にしても趣味にしても、はまり始めが一番楽しい。

 

 

落語家比較が物語の軸

この作品、落語がテーマなので色々な落語が出てきますが、色々な落語家も出てきます。この落語家論ってほど堅苦しくはないのですが、登場人物が落語家を比較してる話が楽しいです。

 

落語の神様、古今亭志ん朝は何においても文句のつけようがない。けど、人間くさい柳家小三治もいい、ってな感じです。 私はタイガーアンドドラゴンで興味をもって、一度だけ寄席にいったことがあるだけです。なので、志ん朝も小三治も知りませんが、作中で自然に解説してあるので理解できました。

 

同じネタでも演者によって大分違いがあり、受け取りかたも変わってくるのが面白いです。終盤で語られる芝浜の演者による違いの話は、江戸時代の夫婦関係から現代の人生論にまで話が及びます。けど、親しみやすい落語が中心にあるので、堅苦しくなく考えさせられます。

 

作中ではどう考えられているかは、読んで確かめてくざたい。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

私は落語初心者なのですが、作中で自然に解説してあるので、十分理解できました。たぶん、上級者の方にはまた、別の風景が見えると思います。 ただ、落語に興味がないかたはちょっと辛いかなってことで、泣く泣く星3つです。

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