おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『珈琲店タレーランの事件簿』 岡崎琢磨 なんだかんだで好きです

   

おすすめ本012

『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』(文庫) おすすめ度☆☆☆

岡崎琢磨(作者別索引) 宝島社文庫 2012年8月

 

 

おすすめポイントを百文字で

デビュー作だからなのかよみづらい文章があったり、共感できないキャラがいたり、謎解きが強引だったりと気になる所は多々あります。ただ、コーヒー愛溢れるうんちくや後半の緊張感のある展開は楽しめました。

 

 

あらすじ

京都の小路の一角に、ひっそりと店を構える珈琲店「タレーラン」。恋人と喧嘩した主人公は、偶然に導かれて入ったこの店で、運命の出会いを果たす。長年追い求めた理想の珈琲と、魅惑的な女性バリスタ・切間美星だ。美星の聡明な頭脳は、 店に持ち込まれる日常の謎を、鮮やかに解き明かしていく。だが美星には、秘められた過去があり――。軽妙な会話とキャラが炸裂する鮮烈なデビュー作。(作品紹介より)

 

 

気になるところはいろいろあります。

今好きな作家で打線を組んでみた」で投手部門の中継ぎに入っている岡嶋琢磨さん。投手部門は文庫本が発売されると新刊ですぐに買っているシリーズの作家さんで固めてあります。

 

この『珈琲店タレーランの事件簿』シリーズも発売されると買っています。で、この文章を書くために久々にシリーズ一冊目を読み直しましたが気になることところがいろいろありました。

 

前回紹介した『ジウⅠ警視庁特殊犯捜査係【SIT】』はシルクのような読み心地でしたが、この作品は読みづらい文章が時々ありました。『ジウ』の誉田哲也さんがシルク、森見登美彦さんが麻だといいましたが、この作品は材質の問題ではなく、糸がほつれたりだまになっている布といえます。

 

また、彼氏が仕事で女性と話していたのを見ただけで浮気と騒ぎ立てる女性や、そんな女性ときっぱり分かれられない彼氏など、なんとも共感しにくい登場人物がいて読み進めるのに苦労しました。

 

肝心の謎解きもかなり強引なときがありました。ネタバレにならない例だと、小学五年生の男の子が毎日ではないけど、たびたびスーパーの前で買い物客に牛乳をねだるというシーンがあります。さすがに不自然でしょう。ミステリーでこういうのに突っ込むの私のほうがおかしいのかもしれませんが、殺人とか起きない日常の謎を解くのことがテーマのこの作品としては、この状況はおかしい気がしました。

 

 

良いところもたくさんあります。

なんだか悪いところばかり挙げてしまいましたが、良いところも多々あります。珈琲愛に溢れたうんちくは、本から珈琲の香りがしてきそうな勢いです。また、「へえ」と感心させられることも多いです。

 

例えば、有名な

良いコーヒーとは、悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、そして恋のように甘い。

―― シャルル=モーリス・ド・タレーラン=ペリゴール[フランス、1754-1838](P7)

この言葉、日本でよく飲まれるドリップコーヒーではなく、エスプレッソのことを指しているようです。「恋のように甘い。」のは、エスプレッソに大量に入れた砂糖のことです。ちなみにタイトルにもなっている珈琲店の名前はこのセリフを言った人からとっています。

 

また、物語の後半には主人公とバリスタ美星のふたりにピンチが訪れるのですが、その展開が緊張感があってよかったです。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ 

色々と批判的なこと書いてきましたが、このシリーズの最新刊が出たらすぐに買います。なぜなら、京都が舞台である。殺伐としていないミステリーである。専門知識をもとにしたうんちくに溢れている。なにより、かわいい女の子が主人公と個人的な好みにばっちりはまっているからです。

 

ただ、人にすすめるという意味では、少し落ちると思うので星三つです。

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