おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『みをつくし料理帖』シリーズ 高田郁 本格料理小説

      2016/01/29

おすすめ本010

『みをつくし料理帖』シリーズ全10作(文庫) おすすめ度☆☆☆☆

高田郁(作者別索引) 角川春樹事務所 2009年5月~2014年8月

 

 

おすすめポイントを百文字で

江戸の食堂が舞台ですが、登場する料理はどれもうまそうでレシピ付きなのが嬉しいです。江戸と大阪の食文化の違いがわかるのも面白いです。主人公が料理で人生を切り開いていく様は、思わず応援してしまいます。

 

 

あらすじ

神田御台所町で江戸の人々には馴染みの薄い上方料理を出す「つる家」。店を任され、調理場で腕を振るう澪は、故郷の大阪で、少女の頃に水害で両親を失い、天涯孤独の身であった。大阪と江戸の味の違いに戸惑いながらも、天性の味覚と負けん気で、日々研鑽を重ねる澪。しかし、そんなある日、彼女の腕を妬み、名料理屋「登龍楼」が非道な妨害をしかけてきだが……。料理だけが自分の仕合わせへの道筋と定めた澪の奮闘と、それを囲む人々の人情が織りなす、連作時代小説の傑作ここに誕生!(シリーズ第一作『八朔の雪』作品紹介より)

 

 

本格料理小説シリーズ

作者の高田郁さんは、作品に載せる料理は必ずご自分でうまくいくまで何度も試作するそうです。そのため、料理マンガなどでよくある奇抜なアイディア勝負の料理ではない、再現性の高い料理 が出てくる本格料理小説と言えます。

 

また、作品の中に出てくる料理のレシピが巻末に載っています。私は食べる専門ですが作るのが好きな人も楽しめるでしょう。ちなみに、一冊あたり四品のレシピが載っています。江戸時代の話なのでとてもうまそうな和食です。

 

 

東西食文化の違い

この作品に出てくる料理の多くには、江戸と大阪の食文化の融合というテーマが隠れています。

「つる屋」の料理人になった主人公の澪は、大阪の高級料理屋で料理を覚えました。なので上方で馴染みのある昆布だしは使いこなせますが、江戸の鰹だしは上手く扱えなかったりします。

だし以外にも江戸の人々が塩辛い味付けを好むことなど、違いは多々あります。味付けが塩辛いのは大工など体を動かす職業が多い街でだからです。主人公の澪はこういった違いに戸惑いながらも、上方の良さを守りつつ(時に頑なに思えるほど)、江戸の庶民の口に合うような料理を考えていきます。

 

例えば第一作目の『八朔の雪』出てくる、「とろとろ茶碗蒸し」は東西のだしの違いがポイントになる料理だったりします。作中でだしの話や料理法を結構詳しく書いているので、料理に詳しくない人も、詳しい人もそれぞれ楽しめます。

 

 

シリーズ全体のテーマ

シリーズ全十冊の芯を通すテーマが四つあります。

 

主人公澪の料理人としての生きる道。

澪の女性としての幸せ。

澪が料理を学び、今はつぶれてしまっている料理屋「天満一兆庵」の復活。

澪の幼馴染で今は吉原で遊女をしている野江を助け出すこと。

 

どれも簡単には解決しませんが、全十冊を使って澪が料理で人生を切り開いてく様子は、思わず応援してしまいます。正直、澪の決断がまどろっこしいこともありますが、最後まで読むと納得させられます。特に、料理で幼馴染を吉原から救い出す話が、意外性があり、また最後には感動できます。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

江戸時代の話なので和食しか出てきませんが、うまそうな料理がたくさん出てきます。ストーリーを支えるテーマもはじめは実現不可能そうなのですが、主人公があきらめずにがんばることで道が開けてきます。読者はそんな主人公を思わず応援しているでしょう。

 

全十冊おいしく楽しめるってことで星四つです。

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