おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『甲賀忍法帖』 山田風太郎 エンタメ小説の最高峰

      2016/01/27

おすすめ本009

『甲賀忍法帖』(文庫) おすすめ度☆☆☆☆☆

山田風太郎(作者別索引) 角川文庫(ブログで使っている画像などはすべて講談社版です) 2002年12月

 

 

おすすめポイントを百文字で

とにかく奇想天外の忍法のアイディアがものすごい。史実と絡ましているので、歴史好きなら物語の結果は見通せてしまいます。にもかかわらず、物語の展開がいったいどうなるか全く分からない、エンタメ小説の最高峰。

 

 

あらすじ

慶長十九年。この年、七十三歳の家康は悩んでいた。竹千代か、国千代か?秀忠の跡を継がせるのは、愚鈍の兄か、聡明な弟か?懊悩の末、家康が出した選定方法――。それは、おのれの命の落日が近い焦燥からか、あまりに奇想天外であった。峠ひとつ隔てて対峙する先祖代々の宿敵、甲賀と伊賀。この両派から精鋭十人を選び、代理として戦わせるという。家康の厳命のもと、手綱を解かれた猟犬のごとく敵に突進する忍者たち。秘術の限りを尽くして繰り広げられる地獄絵巻。凄絶な死闘の果てに漂う哀しい慕情。風太郎忍法帖の記念碑的傑作!(作品紹介より)

 

 

奇抜な忍法のアイディア

自己紹介がてら今好きな作家で打線を組んでみた。で七番に入っている山田風太郎さんの作品です。お亡くなりになっているため作品がこれ以上増えないので下位打線にいますが、実力的にはクリーンナップに入ってもおかしくありません。『甲賀忍法帖』はそんな山田さんの代表作の一つです。

 

この作品の見所はなんといっても、どうしてそんなアイディアが出てくるのって思う、各キャラクターが使う奇抜な忍法の数々です。

 

強力な接着剤のような痰をはく、蜘蛛のような忍者なんていうのは序の口。塩に溶けてナメクジのように変形できる忍法など、普通の人なら考えもしない忍法がたくさん出てきます。できれば、もう少し紹介したいのですが、ネタバレになりかねないのでやめときます。

 

 

ジョジョ的能力バトル

この作品のすごいところは、奇抜なアイディアの忍法がたくさん出てくるだけでなく、その使い方にあります。ネタバレになるので詳しくは書けませんが、その忍法はちょっと強すぎない?って、思うようなものでも、別のシーンでは思わぬ弱点を露呈したりします。

 

能力の相性や使うシーンによって勝負の行く末が変わる感じは、『ジョジョの奇妙な冒険』などの少年マンガで近年流行っている能力バトルに近いのかなって思います。

 

驚愕の初出年代とメディアミックス

この作品を原作に『バジリスク~甲賀忍法帖~』のタイトルで2003年からマンガ化、2005年にアニメ化しています。このマンガとアニメはほぼ原作に忠実にストーリーを進め、原作をよりドラマチックにするためにオリジナルのエピソードを挿入しています。原作を楽しめた人なら、マンガやアニメも楽しめると思います。
 
この作品初出はなんと1958年です。45年たってもマンガ化、アニメ化に耐えるだけの普遍的な面白さがあると思います。

ちなみに2005年に実写映画(『SHINOBI』のタイトルで )にもなっています。結構筋をいじった上に、興業的にあまり成功したとは言えないようですが。あらすじを見たのですが、別物になっていました。
 
作家の夢枕獏さんは「ストーリー上にチーム対決の要素を初めて盛り込んだのは山田風太郎が初めてであり、山田風太郎という作家が漫画界に与えた影響は計り知れない」 と評しているそうです。

 

ジョジョ的な能力バトルの点でもチーム対決という意味でも、いわいるバトルマンガの源流的な意味合いのある作品だと思います。
 

 

結果はわかるのに面白い

あらすじを見ていただくとわかりますが、この物語の発端は三代目の将軍候補を決めるためです。ということは、三代目将軍は家光なので竹千代派(伊賀)が勝利するとわかってしまいます。が、結果はわかっているのに物語はハラハラドキドキ楽しめます。

 

むしろ結果がわかっているほうが、どういう風に結末を持ってくか想像しながら物語を読めるのでむしろ楽しめるかもしれません。あの忍法はどうやって破られるのか、あのふたりの因縁は、と考えながら読むとあっという間に読み終えるでしょう。

 

この点もこの作品のすごさひとつです。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ 

奇抜なアイディアの忍者バトルを堪能した、最後の最後でばっちり伏線の効いたラストには心にぐっと来るものもあります。

 

また、山田さんの作品の特徴の一つである「エログロ」的なものは初期作品のためかかなりマイルドになって、多くの人が抵抗なく読めるエンタメ小説の最高峰だと思うので、おすすめ度は当然の星五つです。

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