おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『池袋ウエストゲートパーク』シリーズ 石田衣良 現代の水戸黄門

      2016/01/11

おすすめ本004

 

『池袋ウエストゲートパーク』シリーズ(文庫) おすすめ度☆☆☆☆

 

石田衣良(作者別索引) 文春文庫 2001年7月~

 

 

おすすめポイントを百文字で

池袋の裏と表の狭間の出来事を、スタイリッシュな文体で描く石田衣良の代表作。旬な出来事を題材にしているのに、いつの時代にも通じるテーマが隠れているのが、初出から二十年近くたっても色褪せない理由でしょう。

 

 

あらすじ

ミステリーの「今」を読みたければ、池袋を読め。刺す少年、消える少女、潰しあうギャング団……命がけのストリートを軽やかに疾走する若者たちの現在を、クールに鮮烈に描く大人気シリーズ第一作。青春小説の爽快さとクライムノヴェルの危険さをハイブリッドした連続ドラマ化話題作にして、日本ミステリー連作の傑作。(第一作作品紹介より)

 

 

その時代を表す旬なテーマ

石田衣良のデビュー作にして、代表作のこの作品。池袋のトラブルシューター真島誠を主人公にした、連作ミステリーで、初出から二十年近くたっています。 それぞれの短編には、その時代を表す旬な問題があります。シリーズ一作目のこの作品はでは、近親相姦や幼児虐待、援助交際、薬物汚染、カラーギャングの抗争。2009年~2010年に書かれた第十作では、携帯電話の個人情報流出、自転車の交通事故、地下アイドルを取り上げています。

 

旬な話題を取り上げているので、時間が立つと鮮度は悪くなります。けど、読めなくなるかと言えばそんなことはないです。そういえばあんな事件もあったなと思い出しつつ、いつの間にかのめり込んでいます。なぜか? 

 

 

普遍的なテーマ

そこには普遍的なテーマがあるからです。

 

権力にしろ、暴力にしろ、金の力にしろ、何かの力が働けば、そこには虐げる人間と虐げられる人間ができてしまいます。虐げられながらも懸命に生きる弱者に、お人好しなトラブルシューター真島誠は共感してしまい、独自の人脈と知恵絞って強者にしっぺ返しをする。

 

勧善懲悪と言えるほど物語は単純ではありません。誠は正義の味方ではないし、暴力を使えば、騙すこともある。手助けが間に合わないこともあるし、問題を根本から解決出来ないこともある。

 

けれど、作中で誠に頼むとなんだか丸くおさまると言われるように、虐げられていた人が不思議と明日に向かって生きていけるようになっています。 その辺のカタルシスがある意味水戸黄門的かなと。まあ、あとはいい意味でワンパターンなとことか。何だかんだで最後は暴力で解決するところも。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

「そうじゃなかったら、そんなふうにでっちあげる。これは裁判じゃないんだ。一発しかけて、爆風でガキの戦争の炎を吹き消す。理屈も正義も公平も、あとからでいい」(第一作P314)

第一作の最終章での主人公の誠の台詞です。なんか、誠の考え方を象徴していると思ったのでのせてみました。 面白い小説は旬が過ぎても面白い、ということで星4つ

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