おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『ハング』 誉田哲也 派手さはないが

   

書評的な読書感想文381

『ハング』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

誉田哲也【誉田哲也さんの他の作品】(作家別索引

中公文庫 2012年9月

警察 サスペンス(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

作者の他の作品に比べて派手さはないが、その分巨悪に追い詰められる恐怖感があり、何度か背筋が寒くなりました。また、序盤は地味な主人公の個性が徐々に見えてきて、終盤は応援していました。行く末が気になる。

 

あらすじ

警視庁捜査一課の堀田班は、宝飾店オーナー殺人事件の容疑者を自供により逮捕。だが公判では自白強要があったと証言され、翌日、班の刑事の一人が首を吊った姿で見つかる。そしてさらなる死の連鎖が……。刑事たちは巨大な闇から仲間を、愛する人を守ることができるのか。誉田作品史上もっともハードな警察小説。(作品紹介より)

 

派手さはないが

作者の誉田哲也さんの他の作品、「ジウシリーズ」のように大規模なテロが起きたり、「姫川シリーズ」のように猟奇的な事件が起きたりはしません。なんてことのない強盗事件が発端となって物語は始まります。

 

ただ、その分、物語の節々にちらつく巨悪や、その手下たちが醸し出す恐怖感というか圧迫感が、他の作品よりも強く感じられました。首吊り自殺が物語のキーになるのですが、政界や財界のトラブルなどでキーパーソンが謎の自殺を遂げたなんてニュースをわりとよく耳にするので、この物語のようなこともあるのとちょっと背筋が寒くなりました。

 

フィクサーって本当にいるの?

物語にはフィクサーとか黒幕なんて呼ばれる、政界や財界を裏で牛耳っている人物が登場します。総理大臣ですら頭を下げる人物で、様々な人事権と莫大な金を握っています。

 

まあ、警察物やサスペンスなどを好んで読む人なら一度は目にしたことのある人物造詣だと思います。ただ、小説などでよく見るこの手のフィクサーなる人物って現実にいるのかちょっと気になったので調べてみました。

 

「黒幕 フィクサー」といった用語でググッて見ると色々な人物の名前が出てくるのですが、個人的には児玉誉士夫さんという人物が気になりました。政界や裏社会だけではなく、CIAともつながりがあり「ロッキード事件」にも関わった人物だそうです。村上春樹さんの『羊をめぐる冒険』のある登場人物のモデルとも言われています。

 

現実の世界にもフィクサーはいるのは確かなようですが、物語のなかのような出来事がどこまで本当に起きていたかは分かりません。ただ、かなり奥が深くておっかない世界なのは間違いなさそうです。

 

行く末が気になる

主人公の津原の個性が、物語の前半では意図的に抑えられているように思えます。天涯孤独の身であることや、ヒロインの女性に恋をしているなど設定的なものは見えるのですが、本人の内面はあまり描かれません。

 

そんな津原は、物語の中盤で起きるショッキングな事件以降、キャラが立ってくるというか、個性が発揮されるようになります。津原のキャラクターがはっきりしていくにしたがって、読んでいる私の感情移入度も上がっていき、最後は応援していました。

 

津原の行く末が気になります。

 

書評的な読書感想文のまとめ

どうやら主人公の津原はこの後、別の作品に出てくるそうです。行く末が気になるところなので、続編も必ず読むってことでおすすめ度は星三つです。

誉田哲也さんの他の作品

作家別索引

警察の他の作品

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