おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『時計じかけのオレンジ』 アントニイ・バージェス キューブリックの映画原作

   

書評的な読書感想文379 おすすめ度☆☆☆☆

『時計じかけのオレンジ』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

アントニイ・バージェス(作家別索引

ハヤカワepi文庫 2008年9月

サスペンス 海外文学(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

最終章の有無や映画で話題になりがちですが、内容的にも名作と呼ばれるのにふさわしい作品。独特なスラングを使った一人称、強烈な暴力の描写、善悪についての考察が見所です。因みに私は最終章はいらない派。

 

あらすじ

近未来の高度管理社会。15歳の少年アレックスは、平凡で機械的な毎日にうんざりしていた。そこで彼が見つけた唯一の気晴らしは超暴力。仲間とともに夜の街をさまよい、盗み、破壊、暴行、殺人をけたたましく笑いながら繰りかえす。だがやがて、国家の手が少年に迫る――スタンリー・キューブリック監督映画原作にして、英国の二十世紀文学を代表するベスト・クラシック。幻の最終章を付加した完全版。(作品紹介より)

 

最終章はいらない派

この作品を知っている方の多くはそうなのかも知れませんが、私はこの作品をスタンリー・キューブリックさんの映画で知りました。20年近く前に見た作品ですが、洗脳シーンにインパクトがあって記憶に残っています。その十数年後に、ここでも紹介した『ビブリア古書堂の事件手帖2』を読んで、映画版にはないオリジナルのラストが存在することを知りました。

 

もともとは主人公のアレックスが最後に更正するラストの完全版がイギリスで出版されます。それがアメリカで出版される際、出版社の意向で最終章がカットされ、アレックスは悪人のまま物語は終わります。そのアメリカ版を見てキーブリックが映画を製作、世界中でヒットしたため、最終章がないバージョンのほうが有名になってしまいます。

 

日本でも、1971年にアメリカ版が出版され、完全版が出版されるのは1980年になってからです。

 

本書の解説に詳しく載っていますが、作者は完全版を(もともとのオリジナルなので当たり前ですが)支持しています。ただ、個人的には、最終章のないアメリカ版のほうが良いのかなと思います。多くの物語の中には救われるべきではないキャラクターもいて、アレックスなどはそういったキャラクターなのかなと。

 

なので、完全版のように最後は更正して救われてしまうよりも、最後まで悪人でいるアメリカン版のほうが作品として正しいと思います。

 

ただ、賛否が分かれることなので、興味を持った人は読んでぜひ考えて欲しいです。

 

R指定な名作

主人公のアレックスは麻薬、強盗、強姦などあらゆる悪事を働く、15才の少年です。そんな彼が、仲間と悪事の限りを尽くし、ついには警察に捕まるまでが第一部です。その後、刑務所で悪事を働けなくする洗脳手術を受けるのが第二部。出所後に昔の因縁がある人たちにリンチを受け、その怪我が元で洗脳が解けるも、更正するまでが第三部です(アメリカ版では洗脳は解けるも更正せず)。

 

かなりハードな内容で映画はアメリカやイギリスで公開される際に、R指定を受けています。暴力シーンやレイプシーンがきついと思う人もいるとは思いますが、それでも名作と呼ばれるのに相応しい作品だと思います。

 

ロシア語を取り入れた独特のスラングを使った一人称は、妙なリズムがてあって読みやすいのと、主人公の心の荒み具合をうまく表しています。

 

また、第一部のほとんどを占める暴力シーンは、目も当てられない酷さなのに、なんだか突き抜けていて、純粋で自由な感じもしてしまいます。悪事を働けなくする洗脳手術を題材に、善悪の意味についての考察や全体主義に対する皮肉も印象的です。

 

書評的な読書感想文のまとめ

数奇な成り立ちの作品で、内容以外で注目されがちですが、名作と呼ばれるのに相応しい作品です。強烈な暴力シーンやレイプシーンがだめな人にはおすすめってことで、星四つです。

 

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