おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『四文屋 並木拍子郎種取帳』 松井今朝子 拍子郎は札付き

   

書評的な読書感想文377 おすすめ度☆☆☆

『四文屋 並木拍子郎種取帳』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

松井今朝子【松井今朝子さんの他の作品】(作家別索引

ハルキ文庫 2012年6月

時代 ミステリー(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

江戸時代のうんちくと食べ物、そしてミステリーとこのシリーズの良さが詰まった安定の面白さ。また、拍子郎の悩みとリンクする事件が起きたり、拍子郎がある決断を迫らたりと、前作からつながる本筋にも動きが。

 

あらすじ

トンボ返りの名人が坂東三津五郎の舞台で大失態を演じてしまう。その理由とは……(「蔦と幹」)。頼母子講に絡んだいやがらせ事件の裏には……(「頼もしい男」)。二枚目で生意気な人気役者が、茶店の娘に惚れてしまい……(「惚れた弱み」)。人気狂言作者並木五瓶の弟子・拍子郎は、遭遇する様々な事件の真相を次々と明らかにしていく―――。人間の運命を優しく鮮やかに描き切る、全五編を収録。捕物帳の傑作シリーズ、待望の第四弾!(作品紹介より)

 

「並木拍子郎種取帳」シリーズ第四弾

私にとって2016年最大のヒットだった『吉原手引草』の作者・松井今朝子さんの作品。

以前紹介した

一の富

二枚目

三世相

の続編で狂言作家の弟子・拍子郎が芝居のネタになりそうな町の噂を集めながら事件を解決する、「並木拍子郎種取帳」シリーズの第四弾です。

 

主要キャラの関係性、特に拍子郎とヒロインのおあさの関係が分かっていたほうが楽しめるので、シリーズを順番に読んだほうが良いでしょう。

 

うんちくと食べ物

今作でも、このシリーズの特徴である、江戸風俗のうんちくと食べ物の話が紹介されていています。今回は、当時の犯罪の取調べについてや芝居者の身分について詳しく書かれたいます。

 

犯罪の取調べに関しては、かなりえげつないことが行われていたことがわかります。大岡忠相の名裁きなんてきれいごとばかりではないのだなあと。

 

また、芝居者の身分についても詳しく描かれています。寛政年間以降、綱紀粛正のため芝居者に対する風当たりが強くなり、住まいは芝居小屋近くの特定の範囲内に限定されたり、身分を明かす木札の携帯が義務付けられ、文字通り札付きとして扱われたそうです。

 

中でも印象的なのが、一般の素人が芝居関係の仕事に就こうとするためには、家族からの勘当も覚悟しなければいけなかったということです。普段は楽しそうな様子で描かれている拍子郎を取り巻く芝居小屋の人々ですが、実はかなりの闇もあるんだなと感じました。

 

食べ物に関しては、当時の調味料煎り酒、天ぷら、鴨ネギならぬ、鴨芹などが紹介されています。天ぷらは屋台の様子も描かれていて、おいしそうなだけではなく、当時の庶民の楽しみが伺えます。

 

拍子郎の悩みとリンクしたミステリー

ミステリーに関しては、拍子郎の悩み、将来のことやおあさとの関係とリンクした事件が起きます。身分の差がある恋がキーになっている事件など、何かと拍子郎の心がざわつく事件が起きます。

 

例えば、上に書いた芝居者の身分がキーになる話、「札付き」では、拍子郎は自分が芝居者になりきれていないことに気付かされたり、事件を解決するために将来にかかわる重大な決断をしたりします。

 

拍子郎の将来やおあさとの関係など、シリーズを通じたテーマと事件がリンクして、本筋もちょいちょい動きます。なので、シリーズのファンには見逃せない作品になっています。

 

書評的な読書感想文のまとめ

安定の面白さで、安心して楽しめます。ただ、一つだけ大きな不満があるのですが、この作品が2012年6月に出版されてから、5年以上経つのに第五弾が出ていません。早く次の作品が読みたいってことで、おすすめ度は星三つです。

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