おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『これは経費で落ちません!』 青木祐子 ライト文芸

   

書評的な読書感想文373 おすすめ度☆☆☆

『これは経費で落ちません! 経理部の森若さん』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

青木祐子(作家別索引

集英社オレンジ文庫 2016年5月

お仕事 ミステリー(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

経理関連のうんちくが少なく、期待していた物とは別物ですが、序盤は楽しめました。ただ、経理部で起きる日常ミステリーで、人間のずるさやいやらしさが描かれていて、後味が悪さが気になります。次回作は読まないかな。

 

あらすじ

森若沙名子、27歳、彼氏なし。入社以来、経理一筋。きっちりとした労働と、適正な給料。過剰なものも足りないものもない、完璧な生活をおくっている、はずだった。最近、そんな気配のなかった同期に恋人ができて、少し迷いが生じている。ある日、営業部のエース・山田太陽が持ちこんだ領収書には「4800円、たこ焼き代」。経理からは社内の人間模様が見えてくる?(作品紹介より)

 

経理部OLの日常ミステリー

タイトルに惹かれて買った作品で、以前このブログで紹介した『女子大生会計士の事件簿』の経理版をイメージして、経理について楽しく学べる作品を期待して読みました。

 

結論から言えばそういった意味では期待はずれでした。経理の話が全く無いわけではないのですが、経理の視点から見る、会社内の人間関係をテーマにした日常ミステリーといった作品です。

 

ただ、これはこれで面白く読めました。少なくとも半分くらいまでは。

 

軽いタッチでは相殺できないいやらしさ

今作は、接待費を使ってのデート疑惑や、物販の売り上げが百六十円多い事件などを、経理部のOLの森若さんが解決する物語なのですが、事件の背後にあるのが人間のずるさやいやらしさがあって、これが物語の一つのテーマになっています。

 

先輩社員の、有能な後輩に対する微妙な嫌がらせや、悪意が全くないけどなんだかとてもずれている試用期間中の派遣社員など、うっすらと人間のずるさやいやらしさが見え隠れしたり、絶妙に扱いづらい登場人物が出てきて、読んできて気持ちがだんだん重くなりました。

 

社会生活をしていればよくあることなのはわかるし、私も職場で似たような経験をすることもあるのですが、この作品に収録されている四話の短編に毎回、何らかのじめっとした人間関係が描かれていて、さすがに後味の悪さが気になりました。

 

主人公の同僚や仲間はとてもいいキャラですし、コメディ調で軽めのタッチなのですが、それでは相殺しきれないほどの後味の悪さが残ります。

 

誰に向けた作品?

「集英社オレンジ文庫」というレーベルは、ライト文芸、大人向けのライトノベルなんていわれるレーベルです。ライトノベルと一般文芸の中間くらいのものかなと個人的には考えています。

 

そう考えるとこの作品も、これから社会人になる人や、社会人1、2年目の人向けに書かれているのが分かります。

ずるいのと真面目なのは矛盾しない(P50)

 

沙名子や秋子にしてみれば、(管理人註:レジの金額が)足りないのではなくて、多いというのはさらに気持ち悪いのだが、そんなことは咲に言ってもわからなそうである。(P81、82)

などとちょっと示唆的な文章あったり、上で書いたような後味の悪い人間関係が描かれているのも、これからの社会人に向けてのメッセージといえそうです。

 

書評的な読書感想文のまとめ

読んでいる最中の感情を時系列で表すと、「思っていたのと違う」→「これはこれで面白い」→「さすがにじっとりした人間関係多すぎで後味が悪い」→「これから社会人になる人が、ちょっとめんどくさい会社の人間関係を知るには良いのか?」といった感じです。

 

結果、それなりに楽しめましたが、後味の悪さが気になるので次回作は読まないってことで、おすすめ度は星三つです。

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