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小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『記録された殺人』 岡嶋二人 淡白で軽いのも良さ

   

書評的な読書感想文370 おすすめ度☆☆☆

『記録された殺人』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

岡嶋二人【岡嶋二人さんの他の作品】(作家別索引

講談社文庫 1989年9月

ミステリー サスペンス(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

ミステリー短編集。推理を楽しむ作品から、サスペンス調のものまで様々な読み味を楽しめる作品。短編なので淡白で軽いところがありますが、それも良さの一つです。個人的には本格ミステリーの表題作がお気に入り。

 

あらすじ

ユーモアとサスペンスあふれる、軽快な都会派ミステリーの魅力。中央公園の微速度撮影を担当した調査会社を一人の男が訪れ、フィルムを奪おうと社員と格闘して死んだ。巧妙な伏線を張りめぐらせた表題作ほか、「密室の抜け穴」「アウト・フォーカス」等、単行本末収録の珠玉作6編を収める文庫オリジナル版。(作品紹介より)

 

単行本未収録の短編集

今好きな作家で打線を組んでみた」で二番に入っている岡嶋二人さんの作品。岡嶋さんは日本では珍しい、二人一組の作家さんで徳山諄一さんがプロットを書き、以前紹介した井上夢人さんが執筆するスタイルだそうです(コンビ解散間際は井上さんがプロットのほうも担っていたようですが)。なので「打線を組んでみた」では、岡嶋さんと井上さん両方で二番ということにしています。

 

そんな岡嶋さんの今回の作品は、単行本未収録のミステリー短編を六編集めた作品です。岡嶋さん得意の本格ミステリーはもちろん、サスペンス調など様々な読み味を楽しめる作品になっています。

 

犯人が被害者を密室に連れこむ様子が固定カメラに撮影されてしまう「記録された殺人」は、トリックを推理することを楽しめる作品です。普段あまり推理しながらミステリーを読まない私も、あれこれ考えながら読みました。知的遊戯という言葉がぴったりな本格ミステリーです。

 

「遅れて来た年賀状」は主人公が実際には行ってないアダルトビデオの通信販売を副業でしていると言われ、会社を首になるところからはじまる物語。トリックは比較的シンプルなのですが、理不尽な理由で追い詰められる恐怖感が印象的な作品です。

 

これ以外にもビルを丸々使った密室物の「秘密の抜け穴」など、いろいろなタイプの作品があります。

 

淡白で軽い

今回の作品は全体的に、淡白で軽いものが多いです。短編なので当たり前といえば当たり前なのですが、犯人の心理描写や動機などの背景についての描写はあまりありません。

 

ただ、それが欠点かというと全くそんなことはなく、むしろ美点です。解説で北上次郎さんが

しかし長篇とは別に、短篇ミステリーを読む愉しさというのもあるのだ。無駄を排した構成、切り詰めた文体、そして切れのいいオチ。すぐれた短篇ミステリーを読む醍醐味は、上質の酒を一、二杯、クッとひっかけるときの快感に匹敵する。延々と飲む酒もいいけれど、サッと飲む酒もまたいいのである。なんて勝手なことを言っちゃったりして。(P287)

と書いていますが、全く同意です。

 

書評的な読書感想文のまとめ

がっつり長編も良いけれど、たまには軽めに短編が読みたいなって言う人におすすめです。随所に岡嶋さんのエッセンスが見られるので、岡嶋二人の入門といても良いかも知れないってことで、おすすめ度は星三つです。

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