おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『巷説百物語』 京極夏彦 必殺仕事人を思い出します。

   

書評的な読書感想文365 おすすめ度☆☆☆

『巷説百物語』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

京極夏彦【京極夏彦さんの他の作品】(作家別索引

角川文庫 2003年6月

ホラー ミステリー(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

怪談と思いきや、必殺仕事人的なミステリー。妖怪を使ったトリックが面白いのと、事件の動機になる人間の闇がエグい。独特の文体なのとかなり気持ちの悪い描写もあるので好き嫌いが分かれそうだけど、私はありです。

 

あらすじ

怪異譚を蒐集するため諸国を巡る戯作者志望の青年・山岡百介は、雨宿りに寄った越後の山小屋で不思議な者たちと出会う。御行姿の男、垢抜けた女、初老の商人、そして、なにやら顔色の悪い僧――。長雨の一夜を、江戸で流行りの百物語で明かすことになったのだが……。闇に葬られる事件の決着を金で請け負う御行一味。その裏世界に、百介は足を踏み入れてゆく。小豆洗い、舞首、柳女――彼らが操るあやかしの姿は、人間の深き業への裁きか、弔いか――。世の理と、人の情がやるせない、物語の奇術師が放つ、妖怪時代小説、シリーズ第一弾!(作品紹介より)

 

怪談と思いきや必殺仕事人

独特の世界観をもつ、京極夏彦さんの作品。おどろおどろしい雰囲気の表装や妖怪の名前が章題になっているところから、怪談と思って読みましたが、単なる怪談とはちょっと違った短編集になっています。

 

物語の主人公は、犯人の身分が高すぎたり、決定的な証拠がなくて闇に葬られようとする悲惨な事件の被害者から依頼を受けて、犯人に報いを受けさせることを生業としています。

 

一言で言えば必殺仕事人なのですが、犯人を追い詰める手段が変わっていて、妖怪が出てくる怪談の世界に犯人を引き込み、精神的に追い詰めその本性を暴き出します。さまざまなトリックを使って犯人に本当の怪異が起きていると思わせるところがポイントになっています。

 

また、各短編で、犯人やトリック、動機など何らかの不明なことがあって、それを推理するミステリー的な要素もあります。

 

人間の闇

今作には7編の短編が収録されていて、基本的な構造はほぼ同じです。怪談の要素があり、妖怪をを使ったトリックで犯人を追い詰め、そして、最後には犯人の心の闇が明らかにされ、動機(のようなもの)が判明します。

 

ただ、構造は同じでも、それぞれの話でポイントになる部分は異なります。怪談に重きを置く話もあれば、トリックが鮮やかで面白い作品もあります。そんな中で私が印象に残った作品は、人間の心の闇がしっかりと描かれた作品です。

 

「帷子辻」という短編は、京都の片隅の辻、十字路に腐乱した死体が突然置かれるところからはじまります。不思議に思われながら、死体は片付けられるのですが、しばらくたつと別の腐乱死体が置かれています。また別の日には新たな死体が置かれます。

 

犯人の動機というか目的が不明で、それが物語の核になっているのですが、真相はなかなかエグいです。ご飯はおいしく食べられなくなるような描写も結構あって、好き嫌いが分かれそうで、手放しにはおすすめできませんが、個人的には楽しめました。

 

書評的な読書感想文のまとめ

以前に京極さんの『覘き小平次』を紹介したときに、独特の文章に苦戦して眠くなったと書きましたが、今回はそういったことはありませんでした(慣れただけかもしれませんが)。

 

ただ、独特の文章で慣れるまでには、多少時間がかかるのと、かなり気持ちの悪い描写があったりもするので、おすすめ度は控えめの星三つです。

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