おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『ロリヰタ。』 嶽本野ばら 異分子の主張

   

書評的な読書感想文359 おすすめ度☆☆☆☆

『ロリヰタ。』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

嶽本野ばら【嶽本野ばらさんの他の作品】(作家別索引

新潮文庫 2007年3月

恋愛 人間ドラマ(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

純愛物語として面白いし、ロリータファッションの主人公の物語として面白いのかもしれません。が、私の心に刺さったのは、社会の異分子である主人公が、大人の道徳の矛盾を突いているところ。何にしろ楽しめました。

 

あらすじ

拙い言葉でもいい、誤解を受ける言葉でもいい、伝えようとする必死さこそが想いを運んでくれるのです…。ロリータ・ファッションを愛する作家の「僕」が出会った美少女モデル。二人のピュアな恋は激しいスキャンダルとして世間から糾弾される。携帯メールを取り入れたアバンギャルドな手法と、事実かフィクションかという謎が論争を呼んだ、乙女のカリスマが放つ「純愛小説」の進化形。(作品紹介より)

 

ロリータファッションの主人公

以前紹介した『下妻物語』の嶽本野ばらさんの作品。そもそも、嶽本野さんは関西で発行されていたフリーペーパー書いていたエッセイが支持を受けたことで、単行本としてまとめられデビューしたそうです。ロリータファッションに精通していて、乙女のカリスマなんて言われています。

 

そんな嶽本野さんの今回の作品ですが、タイトルからも分かるようにロリータファッションが一つのテーマになっています。『下妻物語』のときもそうだったのですが、登場人物のファッションをメゾンの名前(私はブランド名とほぼ同意と理解してます)をあげて具体的に描写してます。

 

おそらく、その道に精通している人なら、読んでいて完璧に近い映像が頭に浮かぶのだろうと思いますが、私にはさっぱり分かりません。ただ、好きな人が見たら楽しめるのだろうなと思うので、上に書いたように「ロリータファッションの主人公の物語として面白いのかもしれません。」としました。

 

純愛物語

物語はひょんなきっかけで出会った、作家である主人公とファッションモデルが携帯メールでやり取りをしつつ、心を通わせる物語です。

 

とあるきっかけで、二人の関係は大きく変化を強いられるのですが、恋愛や倫理について考えさせられます。ネタバレになるので詳しくはかけませんが、特に世知辛い昨今、恋愛する前に、事細かに相手のプロフィールを確認しないといけないんでしょうか、とか考えてしまいました。

 

純粋な恋愛って、今の世の中だとどこまで成立するのでしょう。

 

異分子の主張

今作には、表題作以外に、「ハネ」という作品が収録されています。ロリータファッションの女性が主人公の純愛物語なのですが、その主人公の主張がこの作品の中で特に印象に残りました。

 

ロリータファッションを非難する大人に対して主人公はこう考えます。

大多数のものとは異なるというだけで、それらに歩み寄ろうとしないだけで、蔑視され、嘲笑われ、怒られ、恐怖の対象とされ、罪人の烙印を捺される。それならば、個性が必要だとか、自由は大切だとか口にしないで下さい。(p219)

また、主人公はロリータファッションをしていても、非行歴や精神科に通院していれば許されるはずだと考えます。「解り易い理由があれば、安心できるのです。(P220)」と。

 

人を見た目で判断するなと子供に言いつつも、世の中、かなりの部分で見た目で判断されます。自由や個性が大切といいながら、本当に自由で個性的だと迫害されます。そんな大人の道徳の矛盾を突いていて印象に残りました。

 

書評的な読書感想文のまとめ

『下妻物語』の軽快でコミカルなイメージとは違い、期待していたものではありませんでした。ただ、『下妻物語』のほうが嶽本野さんの作風からすれば、異色のようです。それに、今作のような純愛物語は、これはこれで面白かったということで、おすすめ度は星四つです。

嶽本野ばらさんの他の作品

作家別索引

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