おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

*

『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』 リリー・フランキー

   

書評的な読書感想文355 おすすめ度☆☆☆☆

『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

リリー・フランキー(作家別索引

新潮文庫 2010年7月

家族 人情(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

素敵な親子関係を描いた感動作。前半の母親に悪いと思いつつも、自堕落な生活をする主人公にも共感できましたが、後半の年老いたオカンが病気になるシーンがやばい。自分の母親とオーバーラップしてしまいました。

 

あらすじ

オカン。ボクの一番大切な人。ボクのために自分の人生を生きた人――。四歳のときにオトンと別居、筑豊の小さな炭鉱町で、ボクとオカンは一緒に暮らした。やがてボクは上京し、東京でボロボロの日々。還暦を過ぎたオカンは、ひとりガンと闘っていた。「東京でまた一緒に住もうか?」。ボクが一番恐れていたことが、ぐるぐる近づいて来る――。大切な人との記憶、喪失の悲しみを綴った傑作。(作品紹介より)

 

何度も映像化された、2006年本屋大賞受賞作品

今回の作品は、2006年の本屋大賞受賞作品で、2時間ドラマ、連続ドラマ、映画、舞台と何度もメディアミックスされた、『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』です。

 

作者のリリー・フランキーさんの実体験をもとにしていて、主人公のボクの半生を、オカンとの関係を中心に描いた作品です。物語は大きく三つに分けることができ、ボクが三歳の頃に両親が別居し、オカンと二人暮らしをしていた中学生まで。オカンと別れて暮らすようになった高校生から、30歳ごろまで。病気になったオカンと再び一緒に暮らすようにたった、30代以降。

 

読む人の年齢によって(息子と母親の話なので特に男性は)感じ方がだいぶ違ってくると思いますが、アラフォーの私は中盤と終盤が特に共感して読めました。

 

悪いと思いつつも

物語の序盤は、主人公のボクとオカンが中学生まで一緒に暮らした福岡の田舎の炭鉱町の話です。私と作者とは年代が違うし、育った街の雰囲気もだいぶ違っていて、あまり共感できないまま読み進めていました。

 

ただ、ボクが高校入学と同時にオカンと別れて暮らすようになってから共感できることが多くなりました。金銭的にはもちろん独立できていない主人公が、母親に悪いと思いつつも自堕落な生活を送っているシーンなどは、大学に入ったことで安心して、まともに授業に出なくなった、当時の自分のことを思い出してしまいました(私の場合は両親に対してですが)。

 

また、この頃になるとオカンの老いやばあちゃんの死など、今まで考えたことのない類の、少し不吉な空気が主人公の周りに漂いだしますが、それを振り払うすべを主人公が手に入れてしまっているところにも、かなり共感できてしまいました。

 

自分の両親とオーバーラップ

物語の終盤は、ガンを患った母親と主人公が再び一緒に住むところを描いています。上にも書いたように、中盤で主人公にかなり共感してしまっているので、病気のオカンに対して

もう、自分のことだけを考えて生きてはいけない。どんな状況になっても当然のことなのだが、現実的に、物質的にそれを実感すると、なにか重苦しい気分に襲われることも正直な事実だった。(P264、265)

なんて考える主人公は、他人事とは思えなくなっていました。私の両親は幸い大きな病気をしていませんが、いつそうなっておかしくない年齢なので、かなり身につまされながら読みました。

 

書評的な読書感想文のまとめ

上のおすすめポイントで「素敵な親子関係を描いた感動作」なんて、かなり陳腐な紹介の仕方をしてしまいましたが、実際にそうとしか言いようがない作品です。素敵なものは素敵だし、感動作は感動作としか言いようがないってことで、おすすめ度は星四つです。

作家別索引

家族の他の作品

よろしかったらクリックお願いします。

 

 - ☆☆☆☆ , ,