おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

*

『幻想古書店で珈琲を』 蒼月海里 魔法使いの古書店

   

書評的な読書感想文354 おすすめ度☆☆

『幻想古書店で珈琲を』(文庫)

おすすめ度☆☆(星数別索引&説明

蒼月海里(作家別索引

ハルキ文庫 2015年9月

ファンタジー 友情(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

面白そうな設定ですが、ちょっと肩すかしです。ミステリーかなと思ったのですがそうでもなく、ファンタジー色が強めの男の友情物語か?言葉の使い方で気になることが多いし、次回作は読まないかも。

 

あらすじ

大学を卒業して入社した会社がすぐに倒産し、無職となってしまった名取司が、どこからともなく漂う珈琲の香りに誘われ、古書店『止まり木』に迷い込む。そこには、自らを魔法使いだと名乗る店主・亜門がいた。この魔法使いによると、『止まり木』は、本や人との「縁」を失くした者の前にだけ現れる不思議な古書店らしい。ひょんなことからこの古書店で働くことになった司だが、ある日、亜門の本当の正体を知ることになる。切なくも、ちょっぴり愉快な、本と人で紡がれた心がホッとする物語。(作品紹介より)

 

魔法使いの古書店

物語は、主人公の司が珈琲も飲める古書店に迷い込むところからはじまります。神保町の大型新刊書店に直結しているその店の店主・亜門は魔法使いで、人の人生を一冊の本にすることができます。また、その不思議なお店には、縁を失くした、もしくは縁を失くしかけている人だけが訪れることができます。

 

司はひょんなきっかけでその店で働くことになり、亜門やその店を訪れる人たちとの出来事が物語に綴られます。

 

物語の設定はこのようになっているのですが、第一印象はとても魅力的に思いました。お店に訪れるお客の悩みを、司と亜門が解決するミステリーなのかと思ったからです。実際に、序盤の話は女の子が無くした大切な本を探す物語です。

 

ファンタジー色強めの、男の友情物語

序盤はミステリー調なのですが、中盤はホラー、終盤は司と亜門の種族を超えた友情物語になっています。魔法や幽霊といったファンタジー色もどんどん強くなります。中盤以降の話も個々には面白いのですが、テーマが絞られていないためか全体としてどんな話なのか印象がぼやけてしまっています。

 

「縁を失くした、もしくは縁を失くしかけている人だけが訪れることでる」という設定は面白いので、それをもっと生かして、店に来るお客さんの縁をつなぐ物語で統一したほうがよかったのかなと思ってしまいました。

 

気になる

個人的な感覚の問題といえばそれまでなのですが、表現や言葉の使い方で気になることがいくつもありました。例えば、亜門の目つきについて

穏やかでいて、何事も見通しそうな不思議な瞳だった。それでいて、猛禽のような鋭さもあった。(P6)

と表現していますが、正直イメージできませんでした。「穏やか」な時と「鋭さ」がある時があるのでしょうか。同時に併せ持つことは無いような気がするのですが。

 

また、高校で出会って、席が隣同士になって仲良くなった高校生の男女を「腐れ縁」と表現しています。「腐れ縁」って切っても切れない関係で、付き合いももっと長いものかなって思うのですが。

 

私もおかしな日本語をたくさん使っていて人のことを言えた義理ではありませんが、これ以外にも気になる表現が結構あって、しばしば読む手を止めて考えてしまうことがありました。全体的にはとても読みやすい文章なだけに、ちょっと残念な気がしました。

 

書評的な読書感想文のまとめ

既にこのシリーズは5巻まで出版されているのですが、読みたい本が他にたくさんあるのでおそらく次回作は読みません(そういっていた「古典部シリーズ」は読んでいますが)。

 

全くもって好みの問題かもしれませんが、設定が生かされていないのと、気になる日本語の表現が多くて読むときに引っかかってしまうので、おすすめ度は残念ながら星二つです。

作家別索引

ファンタジーの他の作品

よろしかったらクリックお願いします。

 

 - ☆☆ , ,