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小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『狼花』 大沢在昌 ライバルとの決着

   

書評的な読書感想文353 おすすめ度☆☆☆☆

『狼花 新宿鮫Ⅸ』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

大沢在昌【大沢在昌さんの他の作品】(作家別索引

光文社文庫 2010年1月(このブログの画像等は新装版のものです)

ハードボイルド 警察(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

シリーズの上位に入る良作でライバルとの決着がテーマ。鮫島と仙田や香田の関係も面白いのですが、今作のヒロインとアウトローの二人との三角関係が見所。女の意地、男の見栄のすれ違いが切ない。ただ、説明が長い。

 

あらすじ

大麻所持で逮捕されたナイジェリア人の取調べにあたった鮫島は麻薬ルートの捜査に乗り出し、盗品を専門に売買する「泥棒市場」の存在を突き止める。この組織の背後には鮫島の宿敵、仙田がいた。一方、鮫島と同期でキャリアの香田は新設の組織犯罪対策部の理事官へ異動。香田は外国人組織の撲滅のため暴力団と手を組むことを画策していた。シリーズ最大の問題作。(作品紹介より)

 

「新宿鮫」シリーズ第九弾

以前紹介した『新宿鮫』『毒猿』『屍蘭』『無間人形』『炎蛹』『氷舞』『灰夜』『風化水脈』の続編で、『新宿鮫』シリーズの第九弾になります。

 

今作では、主人公の鮫島とライバル関係にある二人の人物の決着が描かれているので、ライバルとの因縁を理解するためにも、シリーズを順番に読むほうがより楽しめます。

 

ライバルとの決着

今回の物語は、鮫島が盗品の売買を専門とする「泥棒市場」を捜査する所からはじまります。その過程で、「泥棒市場」を運営している人物が鮫島の因縁のライバルで、以前逮捕し損ねた仙田であることが分かります。

 

また、その「泥棒市場」を利用する外国人犯罪者を殲滅するために、鮫島と同期の香田が乗り出します。香田は毒を持って毒を制する方法、つまり暴力団と手を組んで外国人犯罪者の殲滅を目指します。

 

今回の物語のテーマはライバルとの決着です。刑事と犯罪者という関係のライバル・仙田と同期という関係のライバル香田、二つの因縁の関係に決着がつきます。ちょっと意外ですが、よくよく考えると納得できる結末になっているので、このシリーズファンなら絶対に見逃せないでしょう。

 

もう一つのライバル

今回の作品は鮫島の視点のほかにもう一つ、明蘭という中国人女性の視点からも物語が語られます。この明蘭という女性は、「泥棒市場」の運営の鍵になる存在の女性であるのと同時に、鮫島と「泥棒市場」の接点にもなる重要な人物で今作のヒロインです。

 

彼女を「泥棒市場」の中核にすえたのは、鮫島のライバルの仙田で、師弟関係といえます。また、明蘭は「泥棒市場」に出入りするヤクザと恋愛関係に陥ります。この仙田、明蘭、ヤクザの三角関係が鮫島のライバルとの決着を超える、この物語の最大の見所です。

 

男の見栄や建前が、すれ違いを生み、女の意地が三人の関係に終焉をもたらす、切ない物語になっています。このストーリーがあるおかげで、『新宿鮫』『毒猿』などの初期の傑作にも劣らない作品になっていると思います。

 

書評的な読書感想文のまとめ

このシリーズ全体の傾向なのですが、この作品では特に、説明的な会話文が長いのが気になりました。ただ、ライバルとの決着や、アウトローたちの切ない三角関係の物語は、初期の傑作にも負けない、シリーズ上位の良作ってことで、おすすめ度は星四つです。

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