おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『クドリャフカの順番』 米澤穂信 このシリーズを追い掛けて良かった

   

書評的な読書感想文352 おすすめ度☆☆☆☆

『クドリャフカの順番』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

米澤穂信【米澤穂信さんの他の作品】(作家別索引

角川文庫 2008年5月

青春 ミステリー(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

前二作比べかなり面白い。文化祭の様子がメインキャラ四人の視点で描かれていて、臨場感や高揚感が伝わってきます。また、事件の展開もスリリングで楽しめました。このシリーズを追い掛けて良かったと思える作品です。

 

あらすじ

待望の文化祭が始まった。だが折木奉太郎が所属する古典部で大問題が発生。手違いで文集「氷菓」を作りすぎたのだ。部員が頭を抱えるそのとき、学内では奇妙な連続盗難事件が起きていた。盗まれたものは碁石、タロットカード、水鉄砲――。この事件を解決して古典部の知名度を上げよう!目指すは文集の完売だ!!盛り上がる仲間たちに後押しされて、奉太郎は事件の謎に挑むはめに……!。大人気“古典部”シリーズ第3弾。(作品紹介より)

 

映画『氷菓』も公開間近の古典部シリーズ第三弾

以前紹介した『氷菓』『愚者のエンドロール』の続編で、いわゆる「古典部」シリーズの第三弾です。この作品から読んで楽しめなくはないのですが、文化祭を取り上げた三作品でいろいろとリンクしているので、ぜひとも一作目から読むことをおすすめします。

 

このシリーズは累計210万部を突破した大人気シリーズで、アニメも大ヒットしました。また、2017年11月には、山崎賢人さん、広瀬アリスさんのコンビで『氷菓』のタイトルで実写映画が公開されます。ビジュアルのイメージ的には広瀬アリスさんのエル役はぴったりだと思うのですが、あとは好奇心爆発天然お嬢様をどう演じるか、演技力に期待です。

 

Welcome to KANYA FEST!

タイトルにある「クドリャフカ」はロシアの宇宙船に乗せられて、宇宙に行った犬の名前です。『クドリャフカの順番』というタイトルは犬とはあまり関係なく、物語のなかのあるキーワードになっているのですが、作者もあとがきで言っているように「Welcome to KANYA FEST!」という文庫版の英語のサブタイトルほうが、内容を的確に表しています。

 

英語の意味は「カンヤ祭へようこそ」。舞台になっている神山高校の文化祭、カンヤ祭の準備を前々作、前作で行ってきましたが、今作でついに本番です。

 

四人の視点

物語は、主要人物の四人の視点を何度も切り替えながら進められます。

 

相変わらずの省エネ体質で、部室での売り子に徹する主人公の奉太郎。多く作りすぎてしまった古典部の文集「氷菓」を売るために奔走するも、文化祭中に起きた奇妙な盗難事件に持ち前の好奇心を抑えられない、ヒロインのエル。氷菓の売り上げを気にしつつも、文化祭を楽しむ里志。古典部を気にかけながらも、掛け持ちで所属する漫画研究会に専念する摩耶花。

 

四者四様の視点で文化祭を描くことで、文化祭を疑似体験しているような気持ちになって、祭の臨場感や高揚感が伝わってきました。

 

作者があとがきで「本書の主役は、とりもなおさず文化祭そのものです(P391)」なんていっていますが、多角的な視点のおかげでばっちり文化祭そのものが主人公になっています。

 

「十文字」事件

物語の中で主人公の奉太郎たち古典部に二つの事件が起きます。一つは文集「氷菓」が手違いにより予定よりかなり多く作られてしまったこと。もう一つは、文化祭の参加団体から、碁石、タロットカードや水鉄砲などが盗まれる謎の事件、「十文字」事件です。奉太郎たちは「氷菓」をなるべく多く売るために奔走しますが、「十文字」事件も気になります。

 

文化祭が終盤に向うにつれ、「氷菓」の売り上げも「十文字」事件も制限時間を区切られたスリリングな展開になります。前作ではちょっと長いかなって思ったりもしましたが、今作では読む手がどんどん加速して、最後まで一気に読んでしまいました。

 

書評的な読書感想文のまとめ

易しめの謎と余韻があってちょっと苦い結末。前二作にあったこのシリーズの特徴は生かしたまま、物語のグレードはかなりアップしています。

 

『氷菓』の感想でシリーズを追いかけるかどうか迷っている、といったことを書きましたが、ここまでこのシリーズを追いかけてきてよかったってことで、おすすめ度はこのシリーズ最高の星四つです。

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