おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

*

『奪取』 真保裕一 偽札作り

   

書評的な読書感想文348 おすすめ度☆☆☆

『奪取 上・下』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

真保裕一(作家別索引

レーベル 1999年5月

サスペンス ミステリー(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

偽札がテーマのクライム小説。ATMを出し抜いたり、ヤクザや銀行を騙すなど、ドキドキしながら読めました。ただ、偽札作りのシーンが長すぎたり、都合が良すぎるところがあって、イマイチ乗り切れませんでした。

 

あらすじ

一千二百六十万円。友人の雅人がヤクザの街金にはめられて作った借金を返すため、大胆な偽札造りを二人で実行しようとする道郎・22歳。パソコンや機械に詳しい彼ならではのアイデアで、大金入手まであと一歩と迫ったが……。日本推理作家協会賞と山本周五郎賞をW受賞した、涙と笑いの傑作長編サスペンス。(作品紹介より)

 

偽札作りがテーマの山本周五郎賞受賞作品

今回の作品は、映像化された『ホワイトアウト』や「外交官・黒田康作シリーズ」などで有名な、真保裕一の作品です。

 

真保さんはもともと『ドラえもん』のような夢のあふれるアニメを作りたくて、苦労の末、アニメ制作会社に入社しました。『笑ゥせぇるすまん』などの演出や脚本を担当していたそうで、作家デビューして独立した後でも、映画版の『ドラえもん』の脚本を書いています。

 

そんな真保さんの山本周五郎賞作品ですが、偽札作りがテーマになったクライム小説です。初出は1994年の東京中日スポーツ他、地方の新聞で、『夢の工房』というタイトルで連載されていした。それを単行本化の時にタイトルを変え、結末も変えて出版したそうです。

 

偽札作り

物語の最大の見所は、主人公のチームが数々の困難をクリアしながら偽札を作るところです。物語は三部構成になっているのですが、主人公たちが作る偽札の精度も三段階でレベルアップします。

 

最初に主人公たちはATMのセンサーを解析し、両替機からお金を盗むことを考えます。今から20年以上前の話のでお札もATMもそれ程高性能ではなく、パソコンやプリンターを駆使して、大きさや透かしの具合など一つ一つ問題点を改善しながらATMを出し抜ける偽札を作ります。

 

個人的にはこのシーンが一番気に入っています。見た目は子供でも分かる偽札なのに、機械は騙すことができるというアイディアが面白いです。また、ゲームを攻略するような爽快感と仲間と物を作り出す高揚感が上手く描かれているのも秀逸です。

 

その後、主人公たちは失敗や挫折、出会いと別れを繰り返しながらも偽札作りは諦めず、クライマックスでは銀行員すら騙すことのできる偽札を目指します

 

対決

物語のもう一つの見所は因縁のヤクザとの対決です。物語の発端が主人公の友達がヤクザから借金をしたことから始まります。その金を返すために主人公たちは偽札作りを始めるのですが、その技術の高さを知ったヤクザに、主人公たちはねらわれる羽目になります。

 

何度かの対決を経てクライマックスでは、上に書いたように、銀行員すら騙すことができる偽札を使ってヤクザから大金を騙し取ろうとします。綿密な計画を立て作戦を実行しますが、成功までにはいくつものハードルがあり、イレギュラーが起きることもあります。

 

何度もピンチに陥る、ハラハラドキドキの展開で、夢中になって読んでしまいました。

 

書評的な読書感想文のまとめ

偽札作りというテーマも、ヤクザを騙して大金を手に入れようとする展開もかなり私の好みにマッチしています。また、とてもリーダビリティが高く、900ページ以上ある作品ですが、かなりスムーズに読むことができました。にもかかわらず、イマイチ乗り切れなかったというか、もう一つ盛り上がり切らなかったというのが、正直な感想です。

 

偽札作りには何度も挑戦するのですが、その度にかなり細かな作業工程の描写があって、退屈になってしまったのが一つの原因です。また、警察が容疑者を特定しているのに逮捕できなかったり、いろいろ都合が良すぎるところがあるのが気になって、のめり込めませんでした。

 

好きなタイプの話で良質なエンタメ小説だとは思いますが、イマイチ乗り切れなかったということで、おすすめ度は星三つ止まりです。

作家別索引

サスペンスの他の作品

よろしかったらクリックお願いします。

 

 - ☆☆☆ , ,