おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『空飛ぶ広報室』 有川浩  新垣結衣さん綾野剛さんでドラマ化

   

書評的な読書感想文345 おすすめ度☆☆☆☆

『空飛ぶ広報室』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

有川浩【有川浩さんの他の作品】(作家別索引

幻冬舎文庫 2016年4月

お仕事 青春(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

面白い。航空自衛隊の広報室が舞台で、空自を知ってもらうために企画を立案、実現させていく過程はワクワクします。癖の強い脇役たちも秀逸。また、自衛隊の意義や役割についても考えさせられます。糖分は少な目です。

 

あらすじ

不慮の事故で夢を断たれた元・戦闘機パイロット・空井大祐。異動した先、航空幕僚監部広報室で待ち受けていたのは、ミーハー室長の鷺坂、ベテラン広報官の比嘉をはじめ、ひと癖もふた癖もある先輩たちだった。そして美人TVディレクターと出会い……。ダ・ヴィンチの「ブック・オブ・ザ・イヤー2012」小説部門第1位のドラマティック長篇。(作品紹介より)

 

航空自衛隊広報室が舞台の糖分少なめなお仕事小説

毎度おなじみ、「今好きな作家で打線を組んでみた」で堂々四番の有川浩さんの作品。今作は新垣結衣さん、綾野剛さん主演でドラマ化もされました。

 

物語は不慮の事故でパイロットの道を断たれ主人公の空井大祐が、航空幕僚監部広報室に異動するところからはじまります。広報室の個性的な面々と自衛隊嫌いの美人TVディレクターと衝突や協力をしながら広報の仕事に励み、主人公が成長する様子を描いたお仕事小説です。

 

自衛隊をアピールするために、TV局に企画を売り込んだり、自衛隊側の思惑とTVの思惑を上手くマッチさせつつ、番組を作っていくシーンは、読んでいてワクワクしました。個人的な好みになりますが、どんなジャンルでも集団で何かを作るシーンがとても好きです。

 

また、パイロットの道を断たれた主人公の空井が、広報として仕事することで成長し、新たな生き方を見つける所も物語の見所の一つです。広報として生きる道を見つけたときの空井のセリフが、タイトルの「空飛ぶ」の部分にリンクしていて、読んだときにはちょっと鳥肌が立ちました。

 

おそらくテーマを際立たせるために、恋愛要素は少なめです。なので、甘々なのが苦手な人にもおすすめです。

 

個性的なキャラクター

個性的なキャラクターもこの作品の特徴です。特に、主人公の空井の上司で広報室の室長の鷺坂が面白いです。有川作品といえば魅力的なおじさんキャラの宝庫といっても過言ではありませんが、今作の鷺坂も例に漏れず魅力的で面白いです。

 

アイドルに精通するミーハーな性格ですが、鋭い観察眼で物事を見通し、無理と思うような計画も強引で綿密な根回しや説得で実現させてしまいます。いざという時の頼りがいとリーダーシップは、以前紹介した『図書館戦争』の玄田と似ています。

 

他にも、美人なのに振る舞いがおやじな女性室員の柚木や、広報への深い知識や抜群の調整能力を持つ下士官の比嘉など個性的で魅力的なキャラクターがたくさん出てきます。しかもそれぞれのキャラクターにドラマがあって(柚木がおやじくさいのも、比嘉が能力はあるのに下士官のままなのも)しっかり掘り下げられているのもうれしいです。

 

自衛隊の意味

始めは自衛隊に広報なんて必要なのかな、と思いながら読みましたが、序盤の登場人物の会話でその必要性が上手く説明されていています。税金を使っているからこそ活動内容のアピールが必要で、難しい立場の自衛隊だからこと知ってもらうことが必要なのだと。

 

また、要所要所で自衛隊の意義や役割が自然な形で語られていて、楽しく読みながらも自衛隊について考えさせられました。国を守るために厳しい訓練をしているのに、かなり厳しい世間の意見にさらされることもあるのがとても意外でした。

 

ただ、少し堅い読み方をすれば、自衛隊に反対する(感情的ではなく理性的な)視点が少ないかなとも思いました。エンタメとして物語のバランスを取るために、有川さんがあえて描いていないという気もしますが。

 

書評的な読書感想文のまとめ

航空自衛隊の広報室というかなり特殊な職業を取り上げいます。ただ、主人公の成長、ヒロインとの衝突と協力、個性的な脇役たちと、お仕事小説の面白い要素はしっかり兼ね備えていて、とても読みやすいエンタメ小説になっています。

 

個人的な好みとしてはもう少し糖分高めでもいいと思いますが、とても面白い作品なのでおすすめ度は星四つです。

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