おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『ぼっけえ、きょうてえ』 岩井志麻子 意味はとても怖い

   

書評的な読書感想文343 おすすめ度☆☆☆

『ぼっけえ、きょうてえ』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

岩井志麻子(作家別索引

角川ホラー文庫 2002年7月

ホラー サスペンス(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

独特なというよりは、異様な世界観のホラー作品。明治時代の村落の貧困と閉塞感、土俗の習慣や言い伝え、そして岡山弁が異様さを醸し出しています。また、怪異も怖いのですが、何より怖いのは人の嫉妬や憎悪です。

 

あらすじ

――教えたら旦那さんほんまに寝られんようになる。…この先ずっとな。時は明治。岡山の遊郭で醜い女郎が寝つかれぬ客にぽつり、ぽつりと語り始めた身の上話。残酷で孤独な彼女の人生には、ある秘密が隠されていた……。岡山地方の方言で「とても、怖い」という意の表題作ほか三篇。文学界に新境地を切り拓き、日本ホラー小説大賞、山本周五郎賞を受賞した怪奇文学の新古典。(作品紹介より)

 

ヒョウ柄好きの作者の山本周五郎賞受賞作品

TV「5時に夢中!」のコメンテーターや「有吉反省会」のヒョウの格好でお馴染みの岩井志麻子さんの山本周五郎賞受賞作品。「有吉反省会」を見るとどう見ても芸人さんにしか見えませんが、元々は(今も?)作家さんです。

 

女性向けのライトノベルである集英社のコバルト文庫でデビューしましたが、今回の作品でホラー作家として注目され、以降はホラー作品を中心に執筆されています

 

ちなみに、「ぼっけえ、きょうてえ」とは岡山弁でとても怖いという意味です。

 

また、表題作の「ぼっけえ、きょうてえ」は三池崇史監督で映像化されています。アメリカのケーブルテレビの企画で映像化したそうですが、あまりに残酷だったため放送コードのゆるいケーブルテレビでも放送ができなかったそうです。『インプリント〜ぼっけえ、きょうてえ〜』というタイトルで日本でもレンタルできるようなので、興味がある人は見てください。

 

異様な世界観

今回の作品には表題作の「ぼっけて、きょうてえ」のほかに三つのホラー短編が収録されていますが、共通して明治時代ごろの貧しい村落が物語の舞台になっています。文明開化に取り残されたような村落の、貧しさや閉塞感がなんともいえない嫌な雰囲気を醸し出します。

 

また、ナメラズジという魔物の通り道や、ツキノワという「牛や女が入ってならない処(P159)」など、土俗の習慣や言い伝え、それも救いのない悲惨なものが語られていて、ますます物語に暗い雰囲気が漂います。

 

そして、表題作の「ぼっけて、きょうてえ」では物語の岡山弁で物語が語られることによって、異様な世界観が完成します。本来なら決して異様な雰囲気を醸し出すことのない岡山弁ですが、残酷で恐ろしげな物語を語るのにとてもマッチしています。

 

何より怖いのは人

今作の四つの短編には「件」という頭が牛で体が人の化け物や幽霊などの怪異がいくつか出てきます。が、この作品で何より怖いのは人です。

 

よそ者だったり、病気だったり、美人だったりすることで、狭い村落の嫉妬や憎悪が、簡単に一人の人間や一つの家族に集中してしまいます。そして、その嫉妬や憎悪が何かのきっかけで暴発することで、悲劇が起きてしまいます。

 

書評的な読書感想文のまとめ

異様な世界観のホラーで、読んでいて薄ら寒くなることもしばしばありました。題材が題材だけに好き嫌いが分かれるとは思いますが、ホラーが好きな人にはおすすめってことで星三つです。

作家別索引

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