おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『昭和の犬』 姫野カオルコ 気持ち小説

   

書評的な読書感想文338 おすすめ度☆☆☆

『昭和の犬』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

姫野カオルコ(作家別索引

レーベル 2015年12月

家族 人間ドラマ(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

直木賞だけど純文学よりの作品。理不尽な両親の元で成長する主人公と昭和の風景の移り変わりが見所。あとは犬たち。物語性が薄い作品でちょっと苦手ですが、読み終わってほっこりした気持ちになります。

 

あらすじ

昭和三十三年滋賀県に生まれた柏木イク。気難しい父親と、娘が犬に咬まれたのを笑う母親と暮らしたのは、水道も便所もない家。理不尽な毎日だったけど、傍らには時に猫が、いつも犬が、いてくれた。平凡なイクの歳月を通し見える、高度経済成長期の日本。その翳り。犬を撫でるように、猫の足音のように、濃やかで尊い日々の幸せを描く、直木賞受賞作。(作品紹介より)

 

「気持ち小説」な直木賞受賞作

今作は姫野カオルコさんの直木賞受賞作品。姫野さんがあとがきで書いているところによると小説には

「筋小説=起こったこと、ストーリーを中心に綴った小説」と「気持ち小説=心情や思いを中心に綴った小説」(P351)

があるそうで、姫野さんの作品は「気持ち小説」が多いそうです。もちろんこの作品も「気持ち小説」です。

 

これって、私がたまに書いているストーリー性、物語性のあるなしと同じことだと思います。そして、これもよく言っているのですが、この作品も物語性が薄いのでちょっぴり苦手です。

 

また、姫野さんはこの作品で直木賞を取った際に、しばしば「芥川賞」おめでとうといわれたそうです。現状、芥川賞と直木賞の区別もあるような、ないような感じですが、この作品はわりと純文学よりと言えます。

 

理不尽な両親、昭和

物語は8章からなり、それぞれ幼児期、幼稚園、小学校、高校、、、と主人公が各章ごとに成長していきます。そこで描かれていることは、まったく理不尽なことでいきなり怒鳴りつけてくる父親と、自分はブラジャーを付けているのに、娘には必要な年齢になってもブラジャーを買い与えないような母親との理不尽ともいえる関係です。

 

また、その背景には滋賀県のとある都市の昭和の風景が描かれています。

 

戦後の名残を残した昭和の風景が高度経済成長を経て変化していくのに合わせ、主人公と理不尽な両親の関係も、完全な従属関係からじょじょに独立していく方向に変化していきます。昭和が終わって平成になる頃には主人公と両親の関係もだいぶ変化していますが、それは読んで確かめてください。

 

犬犬犬

タイトルからも分かるととおり、物語のひとつのキーアイテムが犬です。単なる雑種から、お金持ちの家のコリー、室内犬のビションフリーゼなどなど、いろいろな種類の犬が物語に出てきます。こうした犬たちは理不尽な両親に育てられた主人公の心の支えになったり、主人公と他の登場人物を繋ぐ役目を果たしたりします。

 

私は子供の頃から犬が苦手というか、(噛まれそうになったから)はっきり嫌いなので、犬がいくら出てきてもあまりうれしくはないのですが、難しい両親に囲まれて主人公が四苦八苦していても、物語が重くならないのはこの犬たちのおかげだと思います。

 

書評的な読書感想文のまとめ

上にも書きましたが、物語性が薄い苦手な作品ではあります。ただ、理不尽な両親との関係など重くなりがちなテーマを持ってはいますが、要所で出てくる犬や懐かしい昭和の風景のおかげで思いのほかほのぼのと読めました。

 

昭和の終わりとともに両親との関係にも大きな変化が訪れ、読後はほっこりした気持ちになったということで、おすすめ度は星三つです。

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