おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『三世相』 松井今朝子 拍子郎の出生の秘密

   

書評的な読書感想文333 おすすめ度☆☆☆

『三世相 並木拍子郎種取帳』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

松井今朝子【松井今朝子さんの他の作品】(作家別索引

ハルキ文庫 2010年10月

時代 ミステリー(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

いつもの人情とミステリー、江戸時代の風俗や食べ物が描かれて安定の面白さです。また、今作では拍子郎の将来や出生について掘り下げられていて、シリーズを追い掛けている人はきっと楽しめます。次回が気になる。

 

あらすじ

貧乏人にも親切だと評判で、診察にもかなりの信用があった医者・良庵が殺された。人気狂言作者並木五瓶の弟子・拍子郎と料理茶屋の娘・おあさは、半月前に占断所で偶然、良庵の女房を見かけていた。早速、拍子郎は事件に首をつっこむことに……(「三世相」より)。表題作他「短い春」「雨の鼓」「子ども屋の女」「旅芝居」の全五篇を収録。江戸の芝居町を舞台に、男と女の情の濃やかさと、人生の奥ゆきを余すことなく描いた傑作捕物帳シリーズ、待望の第三弾。(作品紹介より)

 

「並木拍子郎種取帳」シリーズ第三弾

私にとって2016年最大のヒットだった『吉原手引草』の作者・松井今朝子さんの作品。以前紹介した『一の富』『二枚目』の続編で狂言作家の弟子・拍子郎が芝居のネタになりそうな町の噂を集めながら事件を解決する、「並木拍子郎種取帳」シリーズの第二弾です。

 

主要キャラの人間関係を理解していたほうが今作を楽しめると思うので、『一の富』『二枚目』を先に読むのをおすすめします。

 

安定の面白さ

「並木拍子郎種取帳」シリーズには共通の見所がいくつかあります。時代物らしい人情、ほどほどのミステリー、拍子郎のいる芝居世界を中心とした江戸時代の風俗、おいしそうな料理。

 

今作では、上っ面では分からない男女の機微がひとつのテーマになっています。名医で名高い町医者とその女房。一見、幸せそうな夫婦の内情が鍵になる表題作の「三世相」など、男女の機微がテーマの人情物語が楽しめます。また、江戸時代ならではのアリバイトリックなど、ミステリーの要素もしっかりとあります。

 

芝居の世界の風俗では、大名家に勤める奥女中と芝居小屋の関係や、主に若手が修行のために行う旅芝居の仕組みなどが紹介されてます。旅芝居の世話役・勧進元は地元の侠客めいた者も多いようで、なかなか一筋縄ではいかなかったそうです。下手をすると身包みはがされることも。そんな旅芝居の様子が紹介されていて、興味深いです。

 

江戸時代の料理では、ハマチではなくイナダ(魚に詳しい人はわかってしまうかもしれませんが)の刺身や鮭と大根を使った船場煮などが紹介されて、読んでいておなかが減りました。

 

このシリーズ特有の見所がしっかり描かれていて、シリーズのファンなら楽しめる安定の面白さです。

 

とうとう拍子郎の出生の秘密が

登場人物の扱いに関しては、第一作の『一の富』ではレギュラーキャラの顔見せで終わりました。次の『二枚目』でサブキャラの並木五瓶やおあさについて掘り下げられています。

 

そして、今作ではとうとう並木拍子郎の出生の秘密が語られていたり、人生の重大な選択を迫られるなど、拍子郎が掘り下げられています。間違いなくシリーズ全体の起承転結の「転」になる作品だと思います。

 

単品としてももちろん楽しめるのですが、ここまでの三冊あわせたシリーズ全体を通した物語も盛り上がっています。

 

書評的な読書感想文のまとめ

拍子郎の人生の決断は保留のまま物語が終わっているます。おそらく次回、拍子郎の将来やおあさとの関係がどうなるかが決まると思われます。なので今から次回が楽しみってことで、おすすめ度は次回に期待の星三つです。

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