おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『謎解きはディナーのあとで』 東川篤哉 2011年、年間一位

   

書評的な読書感想文331

『謎解きはディナーのあとで』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

東川篤哉(作家別索引

小学館文庫 2012年10月

ミステリー 警察(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

キャッチーな設定で読みやすく、ほどほどの難易度の謎と切れのある推理。ベストセラーなるのもうなずける、安楽椅子探偵物の連作短編集。間口が広い作品で楽しめましたが、ドラマが乏しいので次回作は読まないかも。

 

あらすじ

国立署の新米刑事、宝生麗子は世界的に有名な『宝生グループ』のお嬢様。『風祭モータース』の御曹司である風祭警部の下で、数々の事件に奮闘中だ。大豪邸に帰ると、地味なパンツスーツからドレスに着替えてディナーを楽しむ麗子だが、難解な事件にぶちあたるたびに、その一部始終を相談する相手は“執事兼運転手”の影山。「お嬢様の目は節穴でございますか?」――暴言すれすれの毒舌で麗子の推理力のなさを指摘しつつも、影山は鮮やかに事件の謎を解き明かしていく。二〇一一年ベストセラー一位のミステリ、待望の文庫化。書き下ろしショートショート『宝生家の異常な愛情』収録。(作品紹介より)

 

年間一位を獲得した大ベストセラーの本屋大賞受賞作品

今回の作品は2011年の本屋大賞受賞、ベストセラーランキング一位、テレビドラマ化と一世を風靡した本格ミステリーの大ベストセラー作品。

 

この作品がこれだけヒットしたことは実はミステリー出版界の事件のようで、解説で千街晶之さんは

ミステリの中でも、謎とその論理的解明を主眼とするものを本格ミステリと呼ぶ。その本格ミステリの単行本が、これほど売れた例はかつてなった。東川篤哉の『謎解きはディナーのあとで』(二〇一〇年九月、小学館から刊行)が大ベストセラーになったことは、ミステリ出版史におけるひとつの事件とさえ言えるだろう。(P340)

と言っています。

 

個人的には登場人物に何らかの属性がある、キャラクターミステリーの流行の起爆剤の一つになったのかなとも思います。

 

キャッチーでありながら本格派

収録されている短編の多くは、新米刑事で財閥企業の一人娘の主人公、麗子が殺人事件の現場に臨場するところから始まります。同僚刑事と現場で情報収集をしながら事件の解決を試みますが、いっこうに解決の糸口がつかめません。一旦帰宅し、相談相手の執事兼運転手に事件の内容を伝えると、その執事がたちまち事件を解決する、といった物語になってます。

 

執事でありながらお嬢さまに対して平然と毒舌を吐く探偵役や、自慢話ばかりでまともな推理が全くできないお金持ちの同僚刑事など、ユーモアがあってキャッチーな設定が印象的です。また、文体も変に気取っていないとても読みやすい文章になっています。

 

一方でミステリーに関しては、上にも書いたように本格ミステリーで、探偵役が現場に行かずに謎を解く、いわゆる安楽椅子探偵と言われる作品です。作中にヒントや伏線がちりばめられていて、読者も探偵役と全く同じ情報を手に入れる事ができるので、解決編を前にじっくり謎解きを楽しむことができます。

 

ちなみに、探偵役の執事が毒舌を吐き出すと事件解決の合図なので、そこで一度手を止めるとよいかもしれません。謎の難易度は、おそらくあまりミステリーを読み慣れてない人でも、まったく歯が立たないといったレベルではなく、比較的易しめで取っ付きやすい謎になっています。

 

書評的な読書感想文のまとめ

とても間口の広い作品で、キャッチーだけど、本格ミステリー。難易度はほどほどとベストセラーになるのもうなずける作品でした。

 

ただ、個人的な好みなのですが、物語を貫く縦糸が弱い、ドラマに乏しい作品だったので続編は読まないかなと思いました。一方で、物語性は気にせず、ほどほどの難易度のミステリーを純粋に楽しみたいって人にはおすすめなのかなってことで星三つです。

作家別索引

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