おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

*

『おさがしの本は』 門井慶喜 図書館司書のミステリー

   

書評的な読書感想文330

『おさがしの本は』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

門井慶喜(作家別索引

光文社文庫 2011年11月

お仕事 ミステリー(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

図書館司書の本探しを題材にしたミステリーの連作短編集。依頼人の証言から、思ってもみない本が探し出されて驚かされます。また、作品全体のテーマである、図書館の存在意義の話はかなり興味深く、驚きの結論です。

 

あらすじ

和久山隆彦の職場は図書館のレファレンス・カウンター。利用者の依頼で本を探し出すのが仕事だ。だが、行政や利用者への不満から、無力感に苛まれる日々を送っていた。ある日、財政難による図書館廃止が噂され、和久山の心に仕事への情熱が再びわき上がってくる…。様々な本を探索するうちに、その豊かな世界に改めて気づいた青年が再生していく連作短編集。(作品紹介より)

 

レファレンスサービス

今回の作品は図書館司書を主人公にした連作短編集です。主人公は司書の仕事の中でもレファレンスサービスを担当しています。レファレンスサービスとは図書館利用者が必要としている資料や情報を探す手助けをする仕事で、高いレベルのサービスをするには深い知識と経験が必要になります。

 

物語は主人公の和久山が、依頼人の証言のなかの些細なヒントを元に、求めている本を見つけ出すミステリーになっています。

 

例えば「シンリン太郎」について調べたい女子大生の依頼。

他には

或る一つの語をタイトルに含む本。

その語は、

A 意味的には、日本語における外来語の輸入の歴史をまるごと含む。

B 音声的には、人間の子供が最初に発する音(おん)によってのみ構成される。(P120,121)

といった本を探す依頼(出題)。

 

答えに納得できることもあれば、そうでないこともありますが、どの話もあっと驚く意外な本が出てきます。

 

図書館の存在意義

図書館司書として利用者が探している本を見つけるミステリーが物語の横糸とすると、とある理由でやる気を失ってしまっている主人公が、図書館廃止の危機に瀕し、やる気を取り戻し、図書館存続に奔走する物語が短編全体を貫く縦糸になっています。

 

物語の中で、予算に乏しい市が運営している図書館なので廃止して、その予算を救急センターやぼろぼろの市営住宅の整備に当てるべきという意見が大勢を占めつつあります。また、図書館なんて「単なる無料貸本屋か、そうでなければコーヒーを出さない喫茶店(P25)」なんていわれたりもします。

 

私自身、本は大好きで図書館は必要だとは思いますが、久しく図書館を利用していないこともあり、上のような意見に反論するすべをもちませんでした。なので、物語の中でどう結論付けるのだろうかと、かなり興味深く読みました。そして、考えもしなかった結論に驚くとともに、納得もできました。

 

「図書館の存在意義」について本のプロである作家がどのような結論を出すのか、それを知るためだけでもこの本を読む価値があるのかなと思います。

 

書評的な読書感想文のまとめ

私的生まれ変わったらなってみたい職業のかなり上位にいる司書の物語なので、終始興味深く読めました。特に「図書館の存在意義」について。

 

また、この作品の姉妹編とも言うべき『小説あります』なんて作品もぜひ読んでみたいってことで、星四つです。

作家別索引

お仕事の他の作品

よろしかったらクリックお願いします。

 

 - ☆☆☆☆ , ,