おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『駆けてきた少女』 東直己 年を取っても変わらない

   

書評的な読書感想文328

『駆けてきた少女』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

東直己【東直己さんの他の作品】(作家別索引

ハヤカワ文庫 2006年10月

ハードボイルド ミステリー(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

他の作品と合わせて完結する話のようで、単品では結末が中途半端です。ただ、年を取った「俺」が相変わらずお人好しで、ススキノで楽しくやっているのが分かって嬉しかったです。連動した他の作品を読むかは迷うところ。

 

あらすじ

ちょっとした行き違いからガキに腹を刺されて入院した“俺”は、見舞いにきた自称「霊能力者」こと濱谷のオバチャンの依頼で、女子高生の家庭調査を引き受けるハメに。軽い気持ちで手を付けたこの一件と、自分を刺した犯人探しとが交錯した時、すでに札幌の闇に蠢く巨大な陰謀に巻き込まれていることに、〈俺〉は気づくのだった。いまどきの高校生に翻弄されながらも、ススキノの中年便利屋が奮闘する軽快ハードボイルド。(作品紹介より)

 

冬には第三弾の映画も、『探偵はバーにいる』のススキノ探偵シリーズ第六弾

『探偵はバーにいる』と以前紹介した『バーにかかってきた電話』『消えた少年』『探偵はひとりぼっち』『探偵は吹雪の果てに』の続編で、シリーズ第六弾です。また、以前紹介した『向う端にすわった男』は短編集なので、シリーズのナンバリング外のようです。

 

ちなみに2017年の冬には映画第三弾が公開されます。今回は原作がつかない映画オリジナルストーリーだそうです。

 

三作品で完結

物語はある少女を助けようとした「俺」がナイフで刺されるところからはじまります。犯人を捜して懲らしめてやろうと思う俺ですが、その途中でなんだか怪しげな女子高生の身辺調査を頼まれたり、北海道県警やメディアが絡んだ大スキャンダル事件に巻き込まれたりします。最後にはススキノの闇社会の〈祭り〉に自ら飛び込んだりもします(参加するという意味ではなく)。

 

ただ、どの話もちょっと中途半端な形で終わってしまいます。消化不良な気持ちのまま本編を読み終え、あとがきを読むとその理由が分かりました。

 

この話は『ススキノ、ハーフボイルド』『熾火』という二つの作品とあわせて完結するそうです。一人の女子高生がキーパーソンになって三作品をつなぎ合わせていて、三つの作品を全て読むことで始めて事件の全容が見えてくるようです。

 

三つの作品が連動する試みは面白いと思うのですが、さすがに結末が中途半端すぎてちょっと不満です。連動はするけど個々の作品でも一定の結末がある、といった形にして欲しいかなと思いました。

 

「俺」は相変わらず

前作の『探偵は吹雪の果てに』でいきなり十五才ほど年を取った「俺」。前作の舞台が北海道の地方都市になっていて、十五年たった「俺」や仲間たちがススキノでどんな暮らしをしているかあまり描かれませんでしたが、今作ではそのあたりもしっかり描かれています。

 

結論から言えば、年を取って色々変わってはしまっているけど、相変わらず「俺」は楽しそうにススキノで暮らします。

 

バブル崩壊後の不景気や友人たちの異動など、変わったことは色々あるようです。ただ、「ケラー」で酒を飲み、イカサマ博打で稼ぎ、お人好しのあまり妙な事件に巻き込まれながらも「俺」は変わらずススキノで楽しそうにしていて安心しました。

 

書評的な読書感想文のまとめ

前作が地方都市を舞台にした番外編っぽい作品だったので、ススキノを走り回る「俺」を素直に楽しめました。ただ、中途半端な結末はちょっと残念だし、連動する他の二作品を読むかといわれるとちょっと迷うところ、ってことでおすすめ度は星三つです。

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