おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『殺人!ザ・東京ドーム』 岡嶋二人 初出は1988年9月

   

書評的な読書感想文327

『殺人!ザ・東京ドーム』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

岡嶋二人【岡嶋二人さんの他の作品】(作家別索引

講談社文庫 2002年6月

サスペンス ミステリー(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

犯人が大観衆の前で殺人を犯すスリリングな展開が前半の見所。後半では、さまざまな人の思惑が絡み起きる犯罪の連鎖、ドミノ倒しのような展開が面白い。ただ、個人的には偶然で事件が決着してしまうのが残念。

 

あらすじ

密かに日本に持ち込まれた南米産の猛毒クラーレ。巨人対阪神戦に沸く東京ドームで、この毒を塗った矢による殺人事件が発生した。大観衆五万六〇〇〇人の面前にもかかわらず、犯行現場の目撃者は皆無。さらに、翌日の同一カードでも凶行は繰り返され、スタジアムはパニックに陥った。傑作長編サスペンス。(作品紹介より)

 

東京ドーム完成の年に出版

今好きな作家で打線を組んでみた」で二番に入っている岡嶋二人さんの作品。岡嶋さんは日本では珍しい、二人一組の作家さんで徳山諄一さんがプロットを書き、以前紹介した井上夢人さんが執筆するスタイルだそうです(コンビ解散間際は井上さんがプロットのほうも担っていたようですが)。

 

なので「打線を組んでみた」では、岡嶋さんと井上さん両方で二番ということにしています。主人公の人物造詣は以前紹介した井上さんの『ラバーソール』につながるものがあるのかなと思います。

 

今作は東京ドーム完成に合わせた企画だったそうで、初出は東京ドームができた1988年です。ただ、さまざまな事情で執筆が遅れ、出版はペナンレース終了間際の9月になってしまっています。

 

スリリングな前半

物語の前半は、主人公が偶然ある猛毒を手に入れるところから、それを使って東京ドームで殺人を犯すところまでが描かれています。大観衆の前、それも翌日、その翌日と連続して(当然警察も警戒しています)行われるスリリングな展開で、読んでいて引き込まれました。

 

犯人と警察の両方の描写があるので、犯罪を実行する側のスリルと連続して殺人を行われてしまう側の恐怖の両方が味わえます。

 

ドミノ倒しの後半

物語の前半はおおむね主人公である犯人の思惑通りに事が進みます。しかし、後半になると犯人以外のさまざまな人の思惑や警察の努力により事件は思わぬ展開を見せます。

 

あたかもドミノ倒しのように必然や偶然が連鎖し、事件は犯人の手から離れてしまいます。前半では完璧に思え、どうやっても犯人を逮捕できないように思えた事件が、後半ではどんどんと犯人の立場が危うくなります。

 

ただ、いろいろな思惑が絡み合っているせいで事件がどのように収束するかは全く読めず、ハラハラドキドキの展開が楽しめました。

 

書評的な読書感想文のまとめ

他の岡嶋作品同様とても読みやすい上に、とてもスリリングな展開で一気に読み終えてしまいました。ただ、犯人逮捕の決め手が偶然だよりなのがちょっと残念だったので、おすすめ度は星三つです。

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