おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『建築士・音無薫子の設計ノート 謎(ワケ)あり物件、リノベーションします。』 逢上央士

   

書評的な読書感想文324

『建築士・音無薫子の設計ノート 謎(ワケ)あり物件、リノベーションします。』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

逢上央士(作家別索引

宝島社文庫 2015年12月

ミステリー お仕事(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

建築事務所が舞台のミステリー。設定自体はとてもおもしろいし、なるほどと思うこともしばしば。ただ、探偵役の女性のキャラが弱いのと解決編に驚きや切れ味が少ないのが残念。正直、次を読むか迷うところです。

 

あらすじ

建築を学ぶ今西中が、風変わりな喫茶店で出会った小柄な女性。彼女こそ今西がこれからインターンとして働く建築事務所の代表、音無薫子だった。天才的な観察眼と奇抜な発想で依頼に応える彼女の元には、ちょっとワケありの依頼人ばかりが訪れて……。イケメン助手に謎多き喫茶店のママ(?)など個性的な面々が織りなす“建築”連作短編開幕!(作品紹介より)

 

建築+ミステリー

今回の作品は『ビブリア古書堂の事件手帖』に代表されるキャラクターミステリーで、探偵役がタイトルにある建築士の女の子・音無薫子です。

 

連作短編集の形式で、建築事務所にリノベーションを依頼してきた依頼人の、本人すら気付いていない悩みや問題をも解決するというのが基本的なパターンになっています。

「依頼人さえ知らない真実、本人すら気付いていない真の要望を導き出し、最も相応しい設計(答え)を提供する――それが私たち建築士の役割よ」(P57)

なんて、探偵役の音無薫子も言っています。

 

リフォームではなくリノベーション

タイトルにもなっているリノベーション。あまり耳馴染みのない言葉で、なんとなく意味はわかるけど個人的にはリフォームのほうがしっくりくるのかなって思いながら読んでいると、本文にこんな説明がありました。

「一般的な区別としては、『リフォーム』は古い設備を新しくしたり、壊れた箇所を直したりすること。『リノベーション』は空間そのものの役割や価値を見直し、相応しい形に作り変えること――ってところかしら」(P23)

家族構成が変わって、子ども部屋を書斎にするなんていうのがリノベーションです。分かりやすいのでリフォームという言葉を使っているのでしょうが、テレビ番組でやっているリフォームのほとんどはリノベーションでしょう。

 

次回作を読むか、読まないか

今までに建築士を主人公にした物語を読んだことがなかったので、建築+ミステリーのこの作品の設定はとても面白いと思いました。窓を作るこのできない壁の話など、建築あるあるがちょこちょこあって感心させられもしました。

 

ただ、探偵役の女の子のキャラクターが、私の好きな『ビブリア古書堂の事件手帖』や『浜村渚の計算ノート』に比べ印象が薄いのが気になりました。また、解決編でのそんなこと考えもしなかったという驚きや伏線がばっちり回収されるような切れ味があまり感じられませんでした。

 

書評的な読書感想文のまとめ

読みやすし、設定は面白いのですが、肝心のミステリーの部分が少しもったいないな、という印象のこの作品。正直、次回作を読むかどうか迷うところってことで、おすすめ度は星三つです。

作家別索引

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