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小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『光』 三浦しをん 重いが凄い作品

   

書評的な読書感想文315

『光』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

三浦しをん【三浦しをんさんの他の作品】(作家別索引

集英社文庫 2013年10月

人間ドラマ 家族(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

理不尽な暴力がテーマになっていて、こちらがたじろぐほど重い話です。何とも言えないラスト、意味深なタイトル、最後まで明かされないヒロインの心情など、考えさせられ解釈の幅がある事柄が多いです。重いが凄い作品です。

 

あらすじ

島で暮らす中学生の信之は、同級生の美花と付き合っている。ある日、島を大災害が襲い、信之と美花、幼なじみの輔、そして数人の大人だけが生き残る。島での最後の夜、信之は美花を守るため、ある罪を犯し、それは二人だけの秘密になった。それから二十年。妻子とともに暮らしている信之の前に輔が現れ、過去の事件の真相を仄めかす。信之は、美花を再び守ろうとするが――。渾身の長編小説。(作品紹介より)

 

2017年秋に映画が公開予定

毎度同じみ「好きな作家で打線を組んでみた。」六番に入っている三浦しをんさんの作品。今作は井浦新さん、瑛太さん主演で映画化されるそうで、2017年11月25日に公開します。(外部リンク:映画『光』公式サイト)

 

まほろ駅前多田便利軒』や『神去なあなあ日常』など比較的コミカルな作品が多い三浦さんですが、今回の作品は理不尽な暴力がテーマになっている作品で、読んでいるこちらがたじろぐほどのかなり重い内容になっています。解説の吉田篤弘さんは「素晴らしく容赦がないなぁ」(P366)と評しています。

 

明るい作風のイメージが強かったので最初は戸惑いましたし、体調があまりよくなかったこともあって読んでいてかなりしんどい思いをしました。ただ、物語が進むにつれどんどんのめりこみ、いつの間にか集中して読んでいました。

 

理不尽な暴力がテーマ

物語のテーマは理不尽な暴力です。自然の暴力である津波、親から子への暴力である虐待、レイプ、ストーカーの脅迫など日常に降りかかるあらゆる理不尽な暴力が主人公たちに襲い掛かります。

 

暴力を受けることに関して、作中でとても印象的な表現があったので引用します。

罪の有無や言動の善悪に関係なく、暴力は必ず降りかかる。それに対抗する手段は、暴力しかない。道徳、法律、宗教、そんなものに救われるのを待つのはただの馬鹿だ。本当の意味でねじふせられ、痛めつけられた経験がないか、よっぽど鈍感か、勇気がないか、常識に飼い馴らされ諦めたか、どれかだ。(P265)

主人公たちが暴力に直面したときどう行動するかが、物語の見所です。

 

解釈の幅が広い

作中でいくつかの重要な事柄の回答が出されないまま物語が終わります。

 

そもそも理不尽な暴力というテーマに対しての答えが出ていません。また、タイトルの『光』が何を意味しているのかも明確ではありません。そして、個人的には一番の謎なのですが、主要人物が四人居る中で、ヒロインの心情のみ全く明らかにされていません。

 

そのため解釈の幅がとても広い作品になっています。

 

おそらくは三浦しをんさんの中では明確な回答があると思うのですが、これらの謎に対して読者がそれぞれの考えを持つことによって物語が完成するんじゃなかなと思います。

 

書評的な読書感想文のまとめ

正直、イメージしていた三浦さんの作品とはかけ離れていたので、かなり戸惑いました。ただ、とても重い話ではありますが、いつの間にかのめり込み、考えさせられる作品です。

 

端的に感想を述べると、重いが凄い作品ってことで星四つです。

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