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小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『アコギなのかリッパなのか 佐倉聖の事件簿』 畠中恵 現代物

   

書評的な読書感想文309

『アコギなのかリッパなのか 佐倉聖の事件簿』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

畠中恵【畠中恵さんの他の作品】(作家別索引

新潮文庫 2012年3月

ミステリー お仕事(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

政治を舞台にした日常ミステリー。謎解きはなんてことないのですが、その背後にある心情的な問題までも解決するのが気持ちよいです。主人公や脇役のキャラ、元政治家の事務所という舞台設定も秀逸だし、次回作も読みます。

 

あらすじ

佐倉聖21歳。腹違いの弟を独り養う大学生だ。すでに引退した大物政治家・大堂剛の事務所で雑用係の事務員を務めている。昔は不良で腕っ節が強い上、気転は利くし頭が切れる。そんな聖だからこそ、事務所に持ち込まれる、あらゆる陳情・難題・厄介事・揉め事の後始末を一任されても、見事な手際でまんまと解決していく。「しゃばけ」シリーズの著者が描く新時代のユーモア・ミステリー。(作品紹介より)

 

「しゃばけ」シリーズの作者の現代物

今作は『しゃばけ』シリーズや『まんまこと』シリーズなど、時代物のミステリーで有名な畠中恵さんの作品です。

 

物語の主人公の佐倉聖は、引退した大物政治家の事務所で働く事務員です。事務所にはさまざまな揉め事が持ち込まれます。例えば、猫の毛色が変わって気になる、元秘書が絵画を持ち逃げして宗教に入信してしまったなどなど。そんな、揉め事を主人公の聖が腕っ節と頭の回転で解決します。

 

背後に隠れた問題

上に書いた猫の毛色が変わる謎や食事制限をしているのにどんどん太ってしまう男の謎など、物理的なミステリー自体はたいしたことがないものが多いです。ただ、その背後にはいろんな人の思惑が絡んだ心情的な問題が隠れています。

 

ある老婆が突然、猫の毛色が変わると訴えだした背後には、仲の良い家族だからこそ行き詰ってしまった物語が隠れていたりします。主人公の聖はそういった背後の問題までも含めってしっかり謎解きをするので、読んでいてとても気持ちが良いです。

 

元・政治家事務所と仲間たち

主人公の聖は大学生ながら年の離れた弟育てなければいけない苦労人で、元不良のため腕っ節は強いけど、頭も切れる人物です。かなりのハイスペックな人物だと思いきや、雇い主の大堂や先輩の加納に良い様に使われてしまうお人好しだったり、過保護なほど弟思いだったりと愛すべきキャラクターになっています。

 

また、聖の雇い主の元大物政治家の大堂という人物もなかなか魅力的な人物で、大学生ながら弟を育てなければいけない聖の面倒を見てくれる人情家の一面がある一方で、聖も知らない聖の家族の秘密を探り出しているような抜け目ないところがあります。

 

他にも、聖をこき使ってケンカになるも、心の中では聖を認めている事務所の先輩で政治家の加納など魅力的なキャラクターがたくさん出てきます。

 

また、元政治家の事務所が舞台なので、政治関連の話も見所です。たとえば、うぐいす嬢の男版はカラスと言われることなどのうんちくがあったり、政治家のあるべき姿を熱く語っていてかなり興味深いです。

 

書評的な読書感想文のまとめ

時代物のイメージが強い畠中恵さんですが、現代物の今作もとても面白いです。ミステリーの背後に隠れた、心理的な問題をも解決するパターンは『まんまこと』シリーズにも通じる面白さがあります。

 

また、主人公をはじめとしたキャラクターは魅力的で、元政治家事務所という舞台設定はかなり秀逸です。既に出版されている次回作も絶対に読むってことでおすすめ度は星四つです。

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