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小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『御不浄バトル』 羽田圭介 トイレとブラック企業

   

書評的な読書感想文305

『御不浄バトル』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

羽田圭介(作家別索引

集英社文庫 2015年10月

お仕事 コメディ(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

タイトルに違わぬくだらなさと、ブラック企業の重い話が不思議と上手く同居しています。朝のトイレ争いや主人公の妙な用意の良さが笑えます。その一方で、ブラック企業が流行る前にそこに注目したのがすごいです。

 

あらすじ

僕が入社したのは、悪徳ブラック企業!?過酷な労働と精神的負担で営業部員は半年で辞めていく中、事務職の僕は無難に仕事をこなし二年目に。唯一の楽しみは、会社や駅のトイレでくつろぐこと。素性不明なトイレ常連メンバーたちと静かな個室争奪戦を毎日繰り広げる。しかし、ある電話がきっかけで、日常が一気に崩れ出す。限界に達した僕は、退職を決意するが……。芥川賞作家の話題作。(作品紹介より)

 

社会人のトイレ事情

今回はお笑い芸人のピースの又吉さんと芥川賞を同時受賞したことで一躍時の人となった、羽田圭介さんの作品です。タイトルにある御不浄つまりトイレが物語の一つのテーマになっています。

 

ブラック企業に勤める二年目の社会人の「僕」が主人公。物語は、駅ビルにあるトイレの個室の取り合いから始まります。込んでいる駅のトイレはスルーして、穴場の駅ビルのトイレを目指しますが、ちょっとでも出足が遅れるとライバルに取られてしまします。

 

「僕」は会社でもちょいちょいトイレにこもります。夕方になっても手を休めない先輩の手前、夕食を堂々と食べれずにトイレで食べたりします。

 

ブラック企業の中で何とか上手くやっていましたが、とあるきっかけでどんどん社内での居場所がなくなり、トイレの依存度が高まります。トイレにこもってばかりいるが見つかるとまずいので、安全にトイレにこもれるよういろいろ工夫を重ねます。

 

こういったトイレにまつわる話は『御不浄バトル』というタイトルに違わぬくだらなさで、笑えます。個人的には、あまり要領のよくない主人公が、トイレにこもるための工夫だけは妙に要領よくやっているのが笑えました。

 

ブラック企業が流行る前

物語のもう一つのテーマはブラック企業です。「ブラック企業」が流行語大賞を受賞したのは2013年で、この物語の初出が2010年なので、かなり早い段階でこの手のテーマに注目していたのは、すごいなと素直に思いました。

 

主人公が勤める会社は、超高額の学習教材を売る会社で、主人公は経理を担当するために強い罪悪感を感じることなく、一年半も勤めることが出来ました。しかし、あるきっかけで会社に居づらくなります。

 

ただ、普通にやめてしまっては失業保険が長くもらえなかったり、再就職が難しくなってしまいます。そこで、勤めている会社が違法でブラックである証拠を集め、それを労基署に持ち込む作戦を思いつきます。

 

書評的な読書感想文のまとめ

このブラック企業の話、結構重い話なのですが、絶妙なさじ加減で、不思議とトイレの軽い話と一つの物語の中で同居しています。

 

軽い話と重い話が上手く同居しているのが見所のこの物語、おすすめ度は星四つとしたいところですが、トイレの話で結構汚い描写もあったりするので、一段下げでおすすめ度は星三つです。

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