おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『私が殺した少女』 原尞 THEハードボイルド探偵小説

   

書評的な読書感想文301

『私が殺した少女』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

原尞(作家別索引

ハヤカワ文庫 1996年4月

ハードボイルド ミステリー(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

良質なハードボイルド。二転三転する誘拐事件の謎は、最後まで先が読めませんでした。癖のある刑事たちも秀逸です。ただ、主人公のキャラが弱いのと最後のどんでん返しに納得できなかったのがちょっと残念。

 

あらすじ

まるで拾った宝くじが当たったように不運な一日は、一本の電話ではじまった。私立探偵沢崎の事務所に電話をしてきた依頼人は、面会場所に目白の自宅を指定していた。沢崎はブルーバードを走らせ、依頼人の邸宅へ向かう。だが、そこで彼は、自分が思いもかけぬ誘拐事件に巻き込まれていることを知る……緻密なストーリー展開と強烈なサスペンスで独自のハードボイルド世界を確立し、日本の読書界を瞠目させた直木賞・ファルコン賞受賞作。(作品紹介より)

 

THEハードボイルドな直木賞受賞作

ジャズピアニストとしてレコードも出している、原尞さんの直木賞受賞作品。

 

アメリカのハードボイルド探偵小説を確立した一人といわれる、レイモンド・チャンドラーに影響を受けたとご本人も公言していて、今作も私立探偵を主人公としたTHEハードボイルド探偵小説です。

 

また、とても寡作な作家さんで、1988年のデビュー以降、長編4作、短編1作、エッセイ1作しか出版しておらず、小説5作は全て今作と同じ沢崎という私立探偵が主人公です。

 

二転三転する誘拐事件

物語は主人公の私立探偵・沢崎が依頼人の家を訪ねるところから始まります。ところが、そこから沢崎は、綿密に計画された誘拐事件に巻き込まれていきます。

 

身代金を持たされて深夜の街中を走りまわされたりと物語が展開するうちにどんどんと深みにはまる沢崎は、犯人の一味に疑われたりもします。けっこう序盤にタイトルにもかかわるショッキングな出来事が起きたり、犯人らしき人物が何人も出てきて、物語は二転三転します。

 

先が読めない展開が続き最後までドキドキハラハラ、飽きることなく読めました。

 

癖のある脇役と平凡な主人公

物語の中で起きる誘拐事件を解決するために、私立探偵の沢崎と警察が半分協力する形になります。この警察関係者が個性豊かです。本庁のエリート刑事がいれば、沢崎に敵意むき出しの所轄の刑事もいます。個人的には、実質的に捜査を仕切る所轄のベテラン刑事がお気に入りです。

 

一方で主人公の沢崎はちょっと平凡なのかなって思いました。以前紹介した『バーにかかってきた電話』などの「ススキノ探偵」シリーズの俺や『新宿鮫』の鮫島のような際立つ個性が感じられませんでした。

 

主人公が個性的であれば良いとは思いませんが、読み終わった後にシリーズを追いかけようと思わなかったのは、主人公のキャラの弱さ故なのかなと思いました。

 

書評的な読書感想文のまとめ

物語の結末は、けっこう賛否両論あるようです。意外な結末で驚かされはしますが、ちょっと唐突だし納得がいかなかったのが本音です。上にも書いたように、主人公のキャラが弱いのも気になりました。

 

ただ、最後までハラハラ出来るとても良質なハードボイルドってことで、おすすめ度は星三つです。

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