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小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『お文の影』 宮部みゆき 鉄板の面白さ

   

書評的な読書感想文297

『お文の影』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

宮部みゆき【宮部みゆきさんの他の作品】(作家別索引

レーベル 2014年6月

ホラー 時代(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

鉄板の面白さ。宮部さんらしい怪異をテーマにした時代物の短編集で、人間の心のひだが丁寧に描かれていますが、重い話から軽めのまで読み味は様々です。特に、人が抱える闇を描いた作品が印象的。ホラー色強めです。

 

あらすじ

「おまえも一緒においで。お文のところへ連れていってやるよ」月の光の下、影踏みをして遊ぶ子供たちのなかにぽつんと現れた、ひとつの影。その正体と、悲しい因縁とは。「ぼんくら」シリーズの政五郎親分とおでこが活躍する表題作をはじめ、「三島屋」シリーズの青野利一郎と悪童3人組など人気キャラクターが勢揃い!おぞましい話から切ない話、ちょっぴり可笑しい話まで、全6編のあやしの世界。(作品紹介より)

 

ホラー色強めの短編集

以前紹介した『本所深川ふしぎ草紙』や『幻色江戸ごよみ』と同じく江戸時代を舞台にした短編集です。この二つは特定のテーマでくくられていますが、今作は特別共通するテーマはありません。ただ、全体的にホラー色が強めなのが特徴の六編の短編集です。

 

また、『ぼんくら』シリーズのスピンオフで政五郎が主人公の物語と、『おそろし』などの「三島変調百物語」シリーズのスピンオフ作品で青野利一郎と悪童三人組が活躍する物語も収録してあります。シリーズのファンの人は楽しめるのもちろん、単独の短編としても完成度が高いので、シリーズを読んだことがない人でも十分楽しめるのがうれしいです。

 

鉄板の面白さ

六編の短編は重い話も軽めの話もあり、おぞましい物、切ない物と読み味はさまざまです。ただ、どの話にも共通するのは、今までの宮部さんの作品紹介でも散々言いましたが、人の心のひだが丁寧に書かれていることです。

 

誰もが感じたことのある嫉妬や欲望などの負の感情も、反対に誰もが持っている正義感ややさしさが物語のなかで丁寧に描かれているので、共感できるし、物語に引き込まれます。

 

やっぱり宮部みゆきさんの時代物短編は鉄板で面白いと再確認しました。

 

一番怖いのは人

今作はホラー色が強く、多くの作品で幽霊や付喪神などの怪異が登場します。ただ、物語のなかで一番怖いのは人でした。

 

例えば表題作の「お文の影」は、ある長屋で子どもたちが遊んでいるといつの間にか影が一つ増えているというところから始まります。主人公の政五郎は影の正体を明らかにするために、その長屋にまつわるいわくを調べるという物語です。

 

「ぼんくら」シリーズでおなじみのおでこの活躍もあって、ことの真相は明らかになります。そこには、人間の、大人のエゴとそれの犠牲になった子どもの悲しい物語がありました。影が一つ増えるという怪異よりも、人間のエゴがしでかした物語のほうがよっぽど怖くて背筋が凍りました。

 

これ以外にも、小さな村を守るために人を人とも思わないような所業を行ってしまう「ばんば憑き」なども、身勝手な人のおぞましさが描かれています。

 

これらの人が抱える闇を描いた作品が印象的でした。

 

書評的な読書感想文のまとめ

鉄板の面白さ。宮部さんのファンなら絶対に楽しめるし、短編で読みやすいのファンじゃない人にもおすすめってことで星四つです。ただし、ホラーが苦手な人はやめといた無難です。

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