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小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『二枚目』 松井今朝子 鯨汁がおいしそう

   

書評的な読書感想文285

『二枚目 並木拍子郎種取帳』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

松井今朝子【松井今朝子さんの他の作品】(作家別索引

ハルキ文庫 2006年6月

時代 ミステリー(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

主要キャラが掘り下げられてたり、男女の機微が描かれてたりと前作にない良さがあります。ただ、その分ちょっと重めかも。また、前作同様、江戸時代の風俗が描かれていて、特に食べ物が美味しそうです。

 

あらすじ

人気狂言作者・並木五瓶の弟子拍子郎は、今日も“町のうわさ”を集め、師匠のうちにやって来た。材木問屋の祟り、芝居小屋での娘の神隠し事件、吉原の女郎あがりと大店に勤める手代の心中事件……。拍子郎は遭遇する事件の真相を、五瓶とその妻の小でん、料理茶屋のおあさ、北町奉行所に勤めている兄を巻き込んで、次々と明らかにしていく。江戸に生きる男と女の心の機微が織りなす、粋で心優しい捕物帳の傑作シリーズ第二弾。(作品紹介より)

 

「並木拍子郎種取帳」シリーズ第二弾

私にとって2016年最大のヒットだった『吉原手引草』の作者・松井今朝子さんの作品。以前紹介した『一の富』の続編で狂言作家の弟子・拍子郎が芝居のネタになりそうな町の噂を集めながら事件を解決する、「並木拍子郎種取帳」シリーズの第二弾です。

 

主要キャラの人間関係を理解していたほうが今作を楽しめると思うので、『一の富』を先に読むのをおすすめします。

 

江戸文化、特にお芝居関係の知識に定評のある松井さんの作品だけあって、芝居関係の描写が詳しいです。今回は、芝居見物を利用したお見合いのシーンが描かれていてなかなか興味深いです。

 

キャラが掘り下げられています

前作の感想で「ただ、各短編のキャラにしろ、レギュラーキャラにしろ、もう少し掘り下げてもいいのかな」なんて書きましたが、今作では主要キャラで主人公の師匠の五瓶や主人公の友達以上恋人未満なキャラである、おあさが掘り下げられています。

 

五瓶の浮気やおあさの初恋にの話に踏み込んでいて、主人公の拍子郎とちょっと気まずくなったりもしていますが、各キャラの人間性が浮き彫りになってきていてシリーズ物を読む楽しみが増してきています。

 

ただ、その分前作よりもちょっと話が重くなっています。

 

食べ物がおいしそう

ホームページ【松井今朝子ホームページ(外部リンク)】で毎日の食事のメニューを公開していたりと、食べ物に対する造詣も深い松井さんの作品だけあて、物語の中の食べ物がおいしそうです。

煤払いの日はまた何処の家も鯨汁を食べる慣例だ。塩漬けにした鯨の脂身は、米ぬかを入れた水で一刻か一刻半はしっかり煮てもどさないといけない。さっき鍋を火にかけてからゆうに一刻はたち、脂はすでに綿のようにふわふわにふくらんでいるはずだ。それを薄く切って味噌汁に入れるまでの段取りは、江戸っ娘の胸にきちんと畳み込まれている。(P279)

私はこの文章でよだれが出ました。

 

書評的な読書感想文のまとめ

江戸の風俗や食文化などうんちく的なことは相変わらず興味深い上に、キャラの掘り下げが進んでシリーズ物を読む楽しみも増してきました。次回も気になるってことでおすすめ度は星三つです。

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