おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『探偵は吹雪の果てに』 東直己 前作の十五年後

   

書評的な読書感想文284

『探偵は吹雪の果てに』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

東直己(東直己さんの他の作品)(作家別索引

レーベル 2004年2月

ハードボイルド ミステリー(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

物語内の時間が前作から十五年くらい経っている上に、舞台がうらぶれた田舎町で番外編感が強いです。なので田舎町にありがちな闇の部分を〈俺〉が引っかき回す様子はいつも通り痛快ですが、ちょっと物足りないです。

 

あらすじ

ちんぴらに袋叩きにされて、“俺”は入院した。そこで偶然、病院の付添婦をしている昔の恋人と再会。彼女からの依頼で雪の田舎町まで一通の手紙を届けることになった探偵だが、町に着くなり身辺に不審な男たちの影がちらつき始め、理由も解明できないまま町を追い出されてしまう。やくざの組長の桐原の助けを借り、再び町に舞い戻った探偵に最大の危機が!雪原を血にそめる死闘の果ての意外な結末とは?シリーズ最高傑作。(作品紹介より)

 

『探偵はバーにいる』のススキノ探偵シリーズ第五弾

『探偵はバーにいる』と以前紹介した『バーにかかってきた電話』『消えた少年』『探偵はひとりぼっち』の続編で、シリーズ第五弾です。また、以前紹介した『向う端にすわった男』は短編集なので、シリーズのナンバリング外のようです。

 

ススキノ探偵シリーズといえば2017年の冬に公開される映画第三弾も楽しみです。ちなみに、今作は原作がつかない映画オリジナルストーリーだそうです。

 

漂う番外編感

物語は前作から十五年ほどたったところから始まります。前作のラストが恋人の春子から子どもができたと伝えられるシーンで終わっていたので、その話を受けて今回どういった展開になるか楽しみにしていただけにちょっと肩透かしなのと、今までの「俺」とはちょっと違う感じがして番外編感がありました。

 

まあ、子育てに奔走する「俺」は物語の主人公の「俺」ではないと作者が判断したのかなって思いました。丸く収まっているいては面白くないので。ちなみに今作で春子とその子どもがどうなったかは語られています。

 

また、今回のメインの舞台がススキノではなく北海道の地方都市であることも番外編感を強くしています。はじめこそススキノにいましたが、途中で舞台が変わってしまうので、ケラーオオハタや高田など、いつものメンバーの活躍が少ないです。

 

田舎とギャルを批判?

物語は主人公の「俺」が悪人の鼻っ面を引っ掻き回すという、ある意味いつものパターンの物語です。ただ、舞台が北海道の田舎町で、地方のどうしようもない現実がテーマになっているところが異なっています。

 

そして、その田舎に対してかなり批判的に描かれています。田舎町にはびこる悪人が批判的に描かれているのはまだ分かるのですが、そうでない人たちまでどうしようもない姿で批判的に描かれています。作者のあとがきに、ある町の首長の言葉とその感想として

「別に若者の流出を防ごうとか、若者を呼び寄せよう、都会の人を呼び込もう、などと考えてないんだわ。実際のところ。老人ひとりいれば、年間で三百万からの補助が国からあっからね。三百人いたら、なんだかんだで十億だよ、アズマさん。こりゃでかいべさ」と嬉しそうに話していたが、まぁ、そんな世界である。なあんとなく、ちょっとイライラするけどね。(P453)

なんて書かれていますが、このちょっとしたイライラの元が物語に反映されています。

 

もう一つ、これは私の推測ですが、作者はギャルにも「ちょっとイライラ」しているようで、物語の中でかなり批判的に描かれているのが印象的です。

 

書評的な読書感想文のまとめ

主人公が正義感やおせっかいから事件に首を突っ込んで引っかき回す様子はいつも通り痛快です。ただ、ススキノが舞台じゃないし、高田などのレギュラーキャラの活躍も少ないのが物足りないということで、おすすめ度は星三つです。

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