おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

*

『お葬式』 瀬川ことび 妙な面白味のある作品

   

書評的な読書感想文280

『お葬式』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

瀬川ことび(瀬川貴次)(作家別索引

レーベル 1999年12月

ホラー コメディ(ジャンル別索引

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

ジャンル的にはホラーですが、そこまで怖くなく、シュールでユーモラスな短編集。妙な面白味のある「お葬式」とちょっと切ない「十二月のゾンビ」がお気に入りです。ただ、お肉が美味しく食べられなくなる人もいるかも。

 

あらすじ

授業中に突然鳴り出したポケベルの電子音。あわてて見た液晶画面に表示されたメッセージは『チチキトク』。病院で、豪華なカタログをかかえてやってきた葬儀社を丁重に追い返して母は言った。「うちには先祖伝来の弔い方がございます――」。(「お葬式」)。日常のなかの恐怖を、ユーモラスに描く、青春ホラー小説の誕生。(作品紹介より)

 

別名瀬川貴次

以前紹介した『ばけもの好む中将』の作者、瀬川貴次さんの作品です。瀬川さんがホラーを書く時はペンネームが「瀬川ことび」になります。

 

今回の作品は第6回日本ホラー小説大賞短編賞佳作の「お葬式」を含むホラーの短編を5編からなります。ジャンル的にはホラーですが、どの話もそこまで怖くなく、シュールだったりユーモラスだったりする作品が多いです。

 

「お葬式」

個人的にお気に入りの作品の一つ。主人公の女子高生の父親が、ある日亡くなってしまいます。母親は押しかけてくる葬儀屋に『「うちには先祖伝来の弔い方がございますし、前々からお願いしている業者さんがいますのでけっこうでございます。」(P19)』といって断ってしまいます。葬儀当日には付き合いのほとんどないはずの親戚がたくさん押しかけてきていてなんだか葬式を楽しみにしている様子。

 

ポケベル(懐かしい……)に「チチキトク」とメッセージが着たり、『おかあさんも兄貴も泣いている。あたしも、自然に涙が出たんでホッとしつつ泣く(P17)』なんて主人公が考えていたりと、要所要所でちょっと笑える部分があります。

 

そして、何より「お葬式」の正体がすごく不気味なことをしているはずなのに、なんだかちょっと笑えてしまいます。怖いというよりかは妙な面白味のある作品です。

 

「十二月のゾンビ」

下の名前も知らない程度の付き合いのバイト先の女の子が、突然一人暮らしの主人公、直人のアパートを訪ねてきました。彼女は事故にあって血まみれなので、主人公は救急車を呼ぼうとするも止められてしまいます。彼女は顔半分がつぶれ、脈もない状態のゾンビになっていました。それから、主人公とゾンビの女の子が一晩過ごすというのがこの物語のあらすじです。

 

「お葬式」同様、ちょいちょい笑いどころがありあまり怖くないのは同じなのですが、この物語はだんだんとちょっと切ない話になっていきます。最後は切なくてほんのり胸が暖かくなる読後感なのが気に入っています。

 

書評的な読書感想文のまとめ

正直ホラーがあまり得意ではない私でも、あまり怖くなく読めました。ホラーなのに笑える上に、独特の世界観がある作品ばかりで楽しめました。他のホラー作品も読んでみたいってことで星三つです。

 

ただし、ちょっとスプラッタだったりで、読んだ後、お肉がおいしく食べられなくなる人もいるかもしれません。

瀬川貴次(瀬川ことび)さんの他の作品

作家別索引

ホラーの他の作品

よろしかったらクリックお願いします。

 

 - ☆☆☆ , ,