おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『つくも神さん、お茶ください』 畠中恵 西太后の朝食

   

書評的な読書感想文264

『つくも神さん、お茶ください』(文庫)

おすすめ度☆☆(星数別索引&説明

畠中恵(作家別索引

新潮文庫 2012年12月

エッセイ ノンフィクション(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

正直、微妙。私はエッセイに「おかしさ」か「切れ味」を求めるのですが、どちらもあまり感じられませんでした。ちょっと読みにくい文章も多かったです。ただ、食べ物の話は美味しそうだし、面白かったです。

 

 

あらすじ

大人気「しゃばけ」シリーズの戯作者、畠中恵さんって、こんな人なんです。遅咲きだったデビュー秘話、妖たちとの初めての出合い。愛する本や映画のこと、創作における苦労。今は亡き小説の師匠の思い出。隠しておきたい弱点や、とっておきのストレス対処法……。お江戸の世界と日常を自由自在に行き来しながら、愛すべき小説を生み出す作家の素顔とは。もりだくさんの初エッセイ集。(作品紹介より)

 

 

「しゃばけ」シリーズの作者のエッセイ集

以前紹介した『しゃばけ』シリーズや『まんまこと』シリーズの作者・畠中恵さんの初エッセイ集です。雑誌や新聞で書いた文章を集めたものに、書下ろしも加えてまとめたエッセイ集なので、まとまりがあるような無いようなつくりです。

 

内容は、読書について、書評、食べ物のことなどが多いです。また、「しゃばけ倶楽部バーチャル長崎屋」という新潮社の公式ウエブサイトに掲載されていた「あじゃれ よみうり」という江戸時代風ブログといえそうな読み物が載っています。

 

 

「おかしさ」と「切れ味」

私がエッセイに求めるものは、声を出して笑えたり、もしくはクスリとしてしまうような「おかしさ」か、作家さんならではの鋭い観察眼からなされる「切れ味」のある考察のどちらかです。「切れ味」をもう少し具体的に言うと、読む前は全く思いもしなかったことだけど、読んでみるとぴったり納得できるような考察のことです。『枕草子』なんかはこちらかなと。

 

今まで紹介したエッセイでは万城目学さんや三浦しをんさんは「おかしさ」を前面に出しつつも、「切れ味」を忍ばせるタイプで、石田衣良さんは「切れ味」重視かなって思います。

 

この観点から読むと今回の作品はどちらの要素もあまり感じられず、正直、あまり面白いと思えませんでした。また、江戸時代風の読み物や、本を建物に例えたエッセイなど作者の仕掛けた工夫が、読みにくい文章に感じてしまいました。

 

 

西太后の朝食と鬼平の白玉

今回の作品の中で食べ物を取り上げたエッセイに面白いものが多かったです。そのひとつが「孔子の故郷・曲阜で 孔府宴と西太后の朝食を喰らう」というエッセイです。タイトル通り、中国の曲阜というところ美食ツアーに行くお話しで、「孔府宴」とは孔子の子孫、孔家に伝わる宴席料理のことです。こんなツアーに参加するだけあって作者の畠中さんは食べることがお好きなようで、エッセイで紹介される豪華な料理や、変わった料理はどれもとてもおいしそうでした。同行者のパワフルっぷりもすごいです。

 

他には鬼平こと池波正太郎さんの『鬼平犯科帳』に出てくる白玉を再現した話も印象に残りました。単に冷やした白玉に砂糖をかけてだけの料理ですが、畠中さんが再現してもイマイチおいしくなかったそうです。確かに、白玉に砂糖をかけてもおいしそうには思えません。

 

しかし、ある和菓子に詳しい人のアドバイスで、今の砂糖よりも品の劣る江戸時代の砂糖を使うことでとおいしく食べられたそうです。その時代、時代のよさがあるってことでしょうか。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

大好きな作家さんがゆえにちょっとハードルが上がっていたこともあって、ちょっと期待はずれな感じでした。デビュー秘話なども載っているので熱心なファンの方にはおすすめってことで、星二つです。

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