おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

*

『ゴールデンスランバー』 伊坂幸太郎 ダブル受賞

   

書評的な読書感想文262

『ゴールデンスランバー』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

伊坂幸太郎(作家別索引

新潮文庫 2010年12月

サスペンス ミステリー(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

前半の主人公の鈍臭さや巨大な何かに追いつめられる怖さでたまったフラストレーションが終盤一気に解放されます。さまざまな伏線や構成の妙が終盤に生きてくるのがすごいです。賛否ありそうなラストは私はありです。

 

 

あらすじ

衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。なぜだ?何が起こっているんだ?俺はやっていない――。首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。行く手に見え隠れする謎の人物達。運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。スリル炸裂超弩級エンタテインメント巨編。(作品紹介より)

 

 

山本周五郎賞、本屋大賞ダブル受賞

読んだことのない作家さんの開拓の意味もあって、最近、意図的に読むようにしている文学賞に「直木賞」「山本周五郎賞」「本屋大賞」があります。あくまで私から見た三つの賞の傾向ですが、エンタメ度が高い順に、本屋大賞、山本周五郎賞、直木賞になります。テーマ性が高いのはその反対の順番です。

 

個人的には山本周五郎賞受賞作が一番相性がいいようで、『夜は短し歩けよ乙女』、『果断 隠蔽捜査2』などがっちりはまった作品がいくつかあります。

 

前置きが長くなりましたが、今回の作品はその山本周五郎賞と本屋大賞を史上初めて同時受賞した作品です。上の傾向からの通り、エンタメ性と程よいテーマ性があって700ページ近い大ボリュームですが最後まで楽しく読めました。

 

 

フラストレーションが溜まる前半

今回の作品は主人公の青柳雅春が首相暗殺の濡れ衣を着せられ、拳銃の発砲も辞さない追っ手から逃げる物語です。とりあえず前半三分の一を読んだ感想はフラストレーションが溜まったでした。何しろ主人公がちょっと鈍くさい。首相暗殺の犯人という受け入れがたい濡れ衣を着せられ戸惑うのは分からなくもないのですが、さすがに現実を受け入れ行動を起こすのが遅すぎるかなと。

 

また、主人公に周到に張り巡らされた罠が陰湿で、あり地獄のようにどんどん深みにはまる主人公が気の毒すぎるという意味でもフラストレーションが溜まる展開でした。

 

 

一気に爆発した後半

前半で溜まったフラストレーションは終盤で一気に解消されます。前半から中盤にかけて張り巡らされたさまざまな伏線が後半に生かされていて、前半で感じたもやもやがしっかりと解消されます。

 

特に「事件のはじまり」「事件の視聴者」「事件から二十年後」「事件」「事件から三ヵ月後」という順番で書かれた、時系列の入り乱れた章立てが、終盤の展開にすごく生かされていてとても驚かされました。最後の方では序盤のページと終盤を行ったりきたりしながら、どこでどういった仕掛けがなされていたのか確かめながら読まずに入られませんでした。

 

また、前半イライラした主人公も後半では自分の行動で運命を切り開くようになっていて好感を持てるようになりました。物語の結末に関しては、いろいろ賛否両論ありそうですが、個人的には主人公の行動も含めありだと思えました。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

伊坂さんの代表作のひとつにあげられ、山本周五郎賞と本屋大賞をダブル受賞したのは伊達ではないと思えました。かなりの分量ですが最後までハラハラドキドキできたってことで、おすすめ度は星四つです。

よろしかったらクリックお願いします。

 

 - ☆☆☆☆ , ,