おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『旅猫リポート』 有川浩 我輩はナナである

   

書評的な読書感想文256

『旅猫リポート』(新書判)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

有川浩(作家別索引

講談社青い鳥文庫 2015年3月 (ブログの画像等は文庫版のものです)

友情 ファンタジー(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

児童書のレーベルですが、猫好き、有川さん好きの大人も楽しめる作品。個人的には、シニカルな猫から見た人間界の様子が面白い。斜に構えたキャラは、有川さんの真骨頂だと思います。また、クライマックスではハンカチ必須です。

 

 

あらすじ

大人気作家・有川浩の作品が、青い鳥文庫に初登場!ぼくはオス猫のナナ。なにかの事情でぼくを手放さなくてはならなくなったというサトルは、引き取り手をさがすため、銀色のワゴンに乗って旅に出る。サトルとぼく、ひとりと一匹が出会う、素敵な風景、なつかしい人々。そしてついにぼくらの最後の旅が始まる――(作品紹介より)

 

 

単行本→絵本→児童書→文庫本

毎度おなじみ、「今好きな作家で打線を組んでみた」で堂々四番の有川浩さんの作品。物語はとある理由で猫を手放さなくてはならなくなったサトルが、新たな飼い主候補に会いに愛猫・ナナと旅するお話です。飼い主を探す旅のはずが、いつの間にか懐かしい思い出を巡る旅に変わってしまい、物語は最後の旅を迎えます。

 

文庫本よりも先に、絵本や児童書版が先に出るというちょっと変わった経歴の作品。私が読んだのは児童書版(ブログの画像等は文庫版です)ですが、確かに中学生や小学生のときに読んだら、今よりも色々感じるものがあったのかなと思います。

 

ただ、私は猫を飼ったことがないのですが、作者が猫好きなのは感じ取れました。たぶん、猫好きな大人も楽しめるのと思います。もちろん、私のような有川浩ファンの大人も楽しめます

 

 

シニカルな猫目線

今回の作品の見所のひとつが猫の目線を描いた部分です。ちょっと斜に構えたシニカルな語り口が猫のイメージに合っているのですが、私の考える有川さんの魅力の一つはこういったシニカルな視点にあるのかなって思います。どの作家さんもそうでしょうけど、有川さんはきっと心の中にかなり性格の悪い人格も飼っているのではないのかなと思います(表面的には隠しているのでしょうが)。その人格がシニカルな視点を物語り与え、魅力となっていると言えそうです。

 

例えば

ばか、ばか、ばーか!あまねく天下の息をしている生き物には、生まれつき殺生が本能として組み込まれているんだよ!菜食主義とか逃げたって植物は殺しても悲鳴が聞こえないってだけの話でしょ!(p56)

 

ペットOKのホテルとかでもよくあるんだけど、犬はOKなのに猫おことわりという施設はけっこう多い。猫は爪をとぐからダメだ、とかね。そんなもの、猫連れの客は修繕費用をちょっと上乗せした料金にしとけばいいじゃないか。それに猫が爪をとぐのは安心できる環境だけで、行きずりの宿なんかで爪とぎしたくなることはそんなにないんだけどね。

それに、人間がよく気にする「動物のにおい」は犬より猫のほうがうすいんですけど?(P230)

こんな風に、猫目線で結構言いたいこと言っているのが楽しめました。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

猫と共に思い出を巡る旅の物語と思って油断していたら、終盤の展開でかなり泣けました。あざといといえばあざといのも有川さんらしいでしょうか。でも、私は読み終わって道端の猫の見方がちょっと変わりましたし、ラストの展開も悪くないってことでおすすめ度は星四つです。

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