おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『精霊の守り人』 上橋菜穂子 NHKで映像化

   

書評的な読書感想文240

『タイトル』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

上橋菜穂子(作家別索引

新潮文庫 2007年4月

ファンタジー 冒険(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

はじめは児童文学で出版された異世界が舞台の冒険ファンタジー。冒険のワクワクドキドキにあふれた作品ですが、建国神話の闇や宗教と政治など骨太なテーマも内包していて、大人も楽しめます。面白いのでシリーズ追いかけます。

 

 

あらすじ

老練な女用心棒バルサは、新ヨゴ皇国の二ノ妃から皇子チャグムを託される。精霊の卵を宿した息子を疎み、父帝が差し向けてくる刺客や、異界の魔物から幼いチャグムを守るため、バルサは身体を張って戦い続ける。建国神話の秘密、先住民の伝承など文化人類学者らしい緻密な世界構築が評判を呼び、数多くの受賞歴を誇るロングセラーがついに文庫化。痛快で新しい冒険シリーズが今始まる。(作品紹介より)

 

 

本屋大賞受賞作家の代表作

今回の作品は『鹿の王』で2015年に本屋大賞を受賞した上橋菜穂子さんの代表作です。はじめは児童文学のレーベルである偕成社から出版された、異世界を舞台にした冒険ファンタジーシリーズで番外編も含め12作品あります。今回の物語は冒険ものらしく洞窟の中で寝泊りしたり、未知の生物と戦ったりとワクワクドキドキが詰まった作品になっています。

 

また、物語の舞台は(あくまで私が読み取ったところでは)日本に似た国の弥生時代から飛鳥時代の間ぐらいの世界観になります。異世界ファンタジーというと『指輪物語』などの西洋のものをイメージしがちですが、この作品は東洋風なファンタジーであることも特徴で、また魅力です。

 

 

大人も楽しめるファンタジー

この作品の魅力は児童文学としてのそれだけではなく、作者のもう一つの顔である文化人類学者としての知識を基に、建国神話や先住民族の伝承などの神話的で緻密な世界観にあります。

 

舞台となる国の建国神話に隠された征服側に都合の悪い秘密や、先住民族が征服側の民族と同化したことで何を失ってしまったのかなど、かなり骨太なテーマも内包しています。私はアイヌ民族のことをイメージしながら読みましたが、作者はアボリジニーの研究者なのでそういった影響もありそうです。これ以外にも、古代の宗教家(占い師)と政治との関係なども物語のテーマになっているので、決して子供向けの物語では終わらない魅力があります。

 

また、文化人類学とは関係がないのですが、少年の成長物語としてこの作品を読み解くこともできます。主人公の女用心棒バルサと行動を共にする、ある国の皇子であるチャグムは父親に命を狙われることになり、バルサと逃亡生活を送ります。ひ弱だった少年はバルサと行動することで心身ともに成長し、最後は息子を暗殺しなければならない父親の立場を思いやることのできる少年に成長します。彼が物語のラストで取った行動は、彼が今回の冒険で生長した証になっていて、読んでいてちょっと涙ぐんでしまいました。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

読み終わった後の正直な感想は、追いかけなければならないシリーズがまた増えてしまったということです。読みたい本はたくさんあるけどこのシリーズも追いかけずにはいられません。ただ、読んでいて映像が浮かびにくいことや、世界観のディテールがいまいち不明なのが欠点かもしれません。次回作以降で、世界観のディテールが明らかになることを期待しつつ、おすすめ度は星四つです。

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