おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『禁断の魔術』 東野圭吾 作者曰くシリーズ最高のガリレオ

   

書評的な読書感想文234

『禁断の魔術』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

東野圭吾(作家別索引

レーベル 2015年6月

ミステリー 人間ドラマ(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

シリーズ最高傑作、とまでは思わないが面白いです。長編らしい犯人や湯川の心の動きが描かれている上に、短編らしい科学技術を使う仕掛けもあります。真相が明らかにつれ価値観が揺さぶられてしまう後半が特に良いです。

 

 

あらすじ

高校の物理研究会で湯川の後輩にあたる古芝伸吾は、育ての親だった姉が亡くなって帝都大を中退し町工場で働いていた。ある日、フリーライターが殺された。彼は代議士の大賀を追っており、また大賀の担当の新聞記者が伸吾の姉だったことが判明する。伸吾が失踪し、湯川は伸吾のある“企み”に気づくが……。シリーズ最高傑作!(作品紹介より)

 

 

ガリレオシリーズ八冊目

今回の作品は以前紹介した『容疑者Xの献身』『聖者の救済』『虚像の道化師』など、ドラマにもなった「ガリレオ」シリーズの文庫本、八冊目の物語です。

 

第八弾ではなく八冊目という表現にしたのには理由があります。そもそも単行本の第七弾、第八弾は『虚像の道化師 ガリレオ 7 amazonへ』 『禁断の魔術―ガリレオ〈8〉 amzonへ』という、それぞれ四本の短編を載せた連作短編集でした。ガリレオシリーズの短編らしく、科学技術を利用したトリックが楽しめる作品です。ただ、初期のころの科学トリックを解き明かすことに主眼を置いた短編とは違い、人間ドラマも盛り込んだ物語になっています。

 

人間ドラマを盛り込んだ物語になっている経緯は単行本『禁断の魔術 ガリレオ〈8〉』の特設サイト(外部サイト)に詳しいです。私の解釈で簡単に説明すると、『容疑者Xの献身』で湯川などのキャラクターにどっぷりと向き合ったために、キャラクターが「小説の駒」ではなく「人間」として動き出してしまったためのようです。『虚像の道化師』の書評で私が書いた「各話登場人物にちょっとしたドラマがあるのも良いです。」という感想もあながち的外れではなかったようです。

 

さらに今度は単行本を文庫本に収録する際に、作者たっての希望で単行本の『禁断の魔術 ガリレオ〈8〉』の「猛射つ(うつ)」という物語を大幅に書き直すことになり、「猛射つ(うつ)」以外の単行本『虚像の道化師 ガリレオ〈7〉』、『禁断の魔術 ガリレオ〈8〉』の短編7本を文庫本の『虚像の道化師』に収録し、「猛射つ(うつ)」を大幅に書き直し、長編に生まれ変わらしたものが今回の文庫本版『禁断の魔術』になります。このあたりの経緯は「本の話WEB(外部サイト)」に詳しいです。

 

単行本で収録された短編をわざわざ書き直して長編にしただけあって、作者の思い入れは深いようで上にも上げた「本の話」では「ここに登場する湯川学は、「シリーズ最高のガリレオ」なんていっています。

 

 

長編のよさと短編のよさ

上にも書いたように、もともと短編だったものを長編に改稿した作品なので、長編のよさと、短編のよさを兼ね備えたハイブリットな作品になっています。ガリレオシリーズの短編らしいちょっととんでも科学ともいえそうな、科学技術を使った仕掛けがある上に、湯川や犯人、サブキャラたちの心情が丁寧に描かれていて長編としての読み応えも十分です。

 

特に、ある重要なサブキャラクターの心情が明らかになった後半は、前半で私が抱いた価値観が揺さぶられ、壊されてしまい、強い衝撃を受けました。何が正しくて誰が悪者なのか考えさせられました。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

このブログで紹介していない作品も含めガリレオシリーズすべての作品のなかで最高傑作は『聖者の救済』だと、私は思います。ただ、今回の作品は長編と短編の良いところあわせたハイブリットな良作だと思うので、おすすめ度は星四つです。特に単行本版しか読んでない人にはおすすめです。

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