おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『桐島、部活やめるってよ』 朝井リョウ 桐島は出てこない

   

書評的な読書感想文226

『タイトル』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

朝井リョウ(作家別索引

集英社文庫 2012年4月

青春 友情(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントをほぼ百文字で

高校生の心の揺らぎが描かれており、懐かしく感じました。特にスクールカーストの描写で、高校時代の良い、悪い、両方の思い出がよみがえりました。ただ、私の頃に比べ、今の子は大変だなというのが一番の感想です。

 

 

あらすじ

田舎の県立高校。バレー部の頼れるキャプテン・桐島が、理由も告げずに突然部活をやめた。そこから、周囲の高校生たちの学校生活に小さな波紋が広がっていく。バレー部の補欠・風助、ブラスバンド部・亜矢、映画部・涼也、ソフト部・実果、野球部ユーレイ部員・宏樹。部活も校内での立場も全く違う5人それぞれに起こった変化とは……?瑞々しい筆致で描かれる、17歳のリアルな青春群像。第22回小説すばる新人賞受賞作。(作品紹介)

 

 

『何者』の作者のデビュー作

『何者』で直木賞史上初の平成生まれで受賞した、朝井リョウさんのデビュー作品です。

 

物語はバレー部のキャプテン桐島が部活をやめたことによる影響で、微妙に変化の起きた5人の高校生の物語です。桐島自身は直接物語に登場せず、高校生5人がそれぞれ主人公になって物語をつむぎ一つの長編を作り上げる構造になっています。

 

また、文庫本特典として脇役の中学生時代が舞台の短編が収録されているます。

 

 

スクールカースト

物語のテーマの一つがスクールカーストです。作中に

高校って、生徒がランク付けされる。なぜか、それは全員の意見が一致する。英語とは国語ではわけのわかんない答えを連発するヤツでも、ランク付けだけは間違わない。(P89)

なんて書いてありますが、スクールカーストのなかの微妙な人間関係でなんとなく窮屈な思いで生きる高校生のリアルな心の揺らぎが描かれています。

 

スクールカーストは学生時代のときにもありましたが、上位にいなかった私としては(成績はよかったことでかろうじで中の下とったところか)、高校時代の良い思いでも悪い思いでも同時に思い出してしまうような物語になっています。物語でも言及されていますが、体育の授業ってスクールカーストが色濃く出てちょっとしんどかった思い出があります。

 

以前紹介した『夜のピクニック』は誰もがあこがれる高校時代の良い思い出の象徴といえますが、この作品は高校時代の良いことも悪いことも含んだリアルな思い出の象徴といえるかもしれません。

 

ただ、それでも物語のフィルターはかかっていて、いじめとかえげつない現実まではあえて描かれていないのかと思います。

 

 

今どきの子は、、、

この物語を読んだ一番の感想は今どきの子は大変なんだということです。私はいま現在で37歳で、作者より10歳年上なのですが、今ほどスクールカーストは厳密ではないし、空気を読むスキルもそこまでシビアではなかったような気がします。

 

生徒のランク付けに無頓着の子は必ず今いたし、その子はそれで許されていた気がします。また、作中では階層の下の子は上の子に話しかけてはいけないなんて書いてありましたが、実際はそこまでではなかったような気がします。

 

今どきの子たちは空気を読んで色々立ち回らないといえないようが物語のなかでも描かれていて大変なんだなって思いました。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

高校生の心の揺らぎがリアルに描かれているので、読んでいて高校時代にタイムスリップしたかのように色々な思い出が浮かび上がってくる作品です。また、ネタバレになるので詳しく書けませんが、ラストの話の持って行き方は個人的には好きです。

 

ただ、高校生の心の揺らぎを描いているだけとも言えてしまうので、おすすめ度は星三つです。

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