おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『パノラマ島奇談(「盲獣」「偉大なる夢」)』 江戸川乱歩 ど変態

   

書評的な読書感想文222

『パノラマ島奇談(「盲獣」「偉大なる夢」)』(文庫)

おすすめ度☆(ジョーカー的な意味で)(星数別索引&説明

江戸川乱歩(作家別索引

レーベル 1974年7月(ブログの画像等は最新版の物です)

ホラー サスペンス(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

面白いが万人におすすめはできません。ただ、江戸川乱歩の想像力と変態度の凄さが分かる作品。パノラマ島の欲望の世界の描写は美しく、エロティックで、気持ち悪い。また、盲獣は変態的でとにかく気持ち悪い作品。

 

 

あらすじ

M県南端にひっそり浮かぶ謎めいたパノラマ島の夜空に、華麗に繰り広げられた見事な花火の饗宴。その真下では全裸の男女が微妙にからみ合い、男の両腕が女の細首をしめていた。やがて女の青ざめた指が弧を描き、空をつかんだ時、彼女のすき通った鼻孔から糸を引くように真赤な血のりが……。一介の貧乏書生が、全くの偶然を利用し、企だてた恐しい犯罪。ただ一人秘密を知ってしまった女に仕掛けられた罠は?悪魔に魅入られた男の凄じい幻夢を描く江戸川乱歩の傑作!(作品紹介より)

 

 

短編三作品

私が古本屋で購入した1974年発行の角川文庫の『パノラマ島奇談』は表題作のほかに「偉大なる夢」と「盲獣」を所収した作品です。

 

ただ、現在は手に入りにくい本なのでブログの画像等は別バージョンの『パノラマ島奇談』や『盲獣』のものを乗せています。

 

 

「パノラマ島奇談」

江戸川乱歩の代表作のひとつにあげられることも多い「パノラマ島奇談」。表記が「奇譚」、「綺譚」する本もあるようで、統一されていないようです。

 

この物語は、貧乏作家がある方法で大金持ちの家の当主に成り代わり、絶海の孤島に自分の空想を実現した理想郷を建設する話です。掲載当初は物語のメインになる主人公の理想郷・パノラマ島の描写が不評だったようですが、萩原朔太郎の賞賛を受けていこう評価されるようになったようです。

 

澁澤龍彦は解説で

つまり、この『パノラマ島奇談』は、乱歩の夢想のもっともストレートに開花した、稀に見る幸福な作品なのであって、そのなかに、いわば乱歩文学を一貫しているモティーフの原型ともいうべきものが読みとれるのだ。

私は前に、ある文章のなかで、乱歩文学を貫く千篇一律のモティーフとして、人形嗜好、メカニズム愛好、扮装欲、覗き趣味、ユートピア願望などといったものを数えあげたことがあるけれども、これらの志向を一括する文学的インファンティリズム(幼児型性格)は、何よりもまず、この作者の三十二歳当時の傑作『パノラマ島奇談』のなかに、堰を切ってあふれ出ている感じなのである。(P471)

なんていっていますが、確かにパノラマ島の描写は作者の趣味がもろに出ているのが読みとれます。

 

当たり前のことですが、物語は作者の想像力を超えることはありません。そう考えるとこの「パノラマ島奇談」を読むことで乱歩が異常で変態的な想像力を持っていたことがよくわかります。

 

 

「盲獣」、「偉大なる夢」

「偉大なる夢」は第二次大戦中に最新鋭のロケット技術をめぐり、日本の憲兵とアメリカのスパイの攻防を描いた作品です。「パノラマ島奇談」と「盲獣」のインパクトがすごすぎて正直印象に残りませんでした。

 

落ちが読めてしまったのが残念です。

 

「盲獣」は盲目の男が触覚芸術のために次々と女性を惨殺する物語。

 

盲目の主人公が自分のために作った奇妙でグロテスクな触角の部屋の描写や女性を次々惨殺するエロティックでグロテスクな描写はインパクト絶大です。猟奇的でグロい描写が苦手な人は絶対に読まないほうがいいでしょう。

 

乱歩自身はこの作品はあまり気に入らなかったようですが、乱歩のど変態ぶりが垣間見れます。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

個人的には面白かったです。グロいのも平気ですし、パノラマ島の描写もちょっと共感できてしまいました。ただ、人におすすめするとなると、変態的すぎているのでおすすめ度は星一つです。

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