おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『武士道セブンティーン』 誉田哲也 「藩」に忠義を尽くす

   

書評的な読書感想文217

『武士道セブンティーン』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

誉田哲也(作家別索引

文春文庫 2011年2月

スポーツ 青春(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

前作からの流れで、香織の成長が嬉しく涙ぐんでしまいました。また、早苗の葛藤する姿にハラハラしてしまい、完全に父親目線で二人の女子高校生剣士を見守ってしまいました。次回作でどう決着するのか楽しみです。

 

 

あらすじ

「強さは力」の香織と「お気楽不動心」の早苗。対照的な相手から多くを吸収したふたりだったが、早苗は、家の事情で福岡の剣道強豪校に転入。そこでの指導方法の違いに戸惑う。一方、香織は後輩の育成に精を出す。互いを思いつつも、すれ違うふたりは、目指す剣道に辿り着けるか。大人気剣道青春小説、二本目。(作品紹介より)

 

 

「武士道」シリーズ第二弾

以前紹介した誉田哲也さんの『武士道シックスティーン』の続編です。刑事もので有名な誉田さんですが、今シリーズは青春を剣道にかける女子高生の物語です。前作の内容をかなり踏まえているので、いきなり今作を読んでもあまり楽しめないでしょう。

 

また、前作が好評だったために続編を書くことができるようになったためか、前作のエピローグ部分と今作の前半が同じ時系列です。

 

 

香織の成長

前作で様々な葛藤を経て自分の剣道を見つめなおした香織ですが、今作ではその成果というか、成長の後が見られます。

あたしは西荻に、知ったかぶって「これからは武士道の時代だ」とかいってしまった。でも最近は、なんかちょっと違う気がしてきている。

「武士道の時代」なんて、たぶんこない。武士道とはおそらく、きたり過ぎていったりするものではない。むしろ日本人なら誰の心の中にもあって、ふとあるとき気がついたり、合点がいったりするものなのだと思う。

そしてあたしにとっての、現時点での「武士道」とは――。

とりあえずあたしのいる「国」あるいは「藩」である、東松高校女子剣道部に忠義を尽くすこと、なのである。(P78)

なんて考えていて、相変わらずこじらせ気味ですが、忠義を尽くすなんていっているし、実際に部のために泥をかぶるような行動をしたときには、ちょっと涙が出てきました。

 

 

早苗の葛藤

一方で前作ではマイペースで剣道を楽しんでいた早苗が今回は深く葛藤します。

 

父親の仕事の関係で九州の剣道強豪校に転入するのですが、スポーツの剣道と武道の剣道の間で悩むことになります。試合に勝つことに特化した学校の方針に戸惑い反発するも、その中で何とか自分の剣道を見つけようともがく姿は応援したくなります。

 

香織の成長も早苗の葛藤も父親目線でうれしく思ったり、心配したりしてしまいました。

 

 

次回へのつなぎ感

今回の物語は二人の高校二年の話です。次回作で三年になった話をするためか、今回は二人の関係に決着はつかず、ちょっとつなぎ感がありました。

新しい時代が始まる。

そんな予感さえしていた。

今度こそ、武士道の時代かもしんない。

なんかそんな気がするんだ。(P407)

次回作が気になります。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

二人の主人公の成長や葛藤が楽しめますが、次回作へのつなぎ感もありました。当然、次回作も読みますが、今回は様子見の星三つです。

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