おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『エヌ氏の遊園地』 星新一 松本人志が尊敬

   

書評的な読書感想文210

『エヌ氏の遊園地』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

星新一(作家別索引

講談社文庫 1971年11月

ミステリー サスペンス(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

面白い。とにかく柔軟な発想力が並外れていて、数ページの物語の中に、ブラックユーモアと思いもよらない驚きの結末があります。好き嫌いが別れそうな作家さんですが、本好きなら一度は読んでみるべきです。

 

 

あらすじ

虫も殺さぬ若い女性の口から飛び出すことば「殺し屋ですのよ」、幸運きわまる青年の不運きわまる目覚めの「あこがれの朝」――卓抜なアイディアと洗練された手法で神秘とファンタジックな物語に新境地をひらき、日常と非日常の不思議な世界にいざなうショートショートの第一人者による傑作三十一編。(作品紹介より)

 

 

松本人志が尊敬

あるラジオ番組で松本人志さんが尊敬する人として、ボクサーとともに上げていたのが今回の作品の作者の星新一さん。あまり読書をしない松本さんも星新一さんの本は読むそうです。その番組の中では尊敬する理由をあげていませんでしたが、おそらくは、誰も思いつかないような発想力をすごいと思っているんじゃないかなと。松本人志の笑いにも通じるものがあると思います。

 

ショート・ショートと呼ばれるごく短い物語の中に、ちょっとした不思議とそれを解決するあっと驚く仕掛けが詰め込まれています。どういう人生を送ったらこんな発想が出てくるのかと、物語を読みながら考えてしまうこともしばしばありました。また、どの話も皮肉というかブラックユーモアがあるのも個人的には好きです。

 

 

「殺し屋ですのよ」

私が気に入った作品をちょっとだけ紹介。

その時、木かげから若い女性があらわれた。明るい服装に明るい化粧。そして、にこやかに声をかけてきた。(P70)

その女性が言ったのは、「殺し屋ですのよ」。女性が言うには、ライバル会社の社長を不自然に思われないように呪い殺すということ。期限は六ヶ月以内。手付金は必要なく、成功報酬だけもらうというもの。そして、ライバル会社の社長は四ヵ月後に不自然なところがない状態で死亡。

 

いったいどうやったのか。ラストの種明かしが秀逸です。31編のショートショートの中で一番驚きました。

 

 

「あこがれの朝」

いわゆる一流大学を卒業し、一流の官庁の重要な地位にあるため、すばらしい将来がひらけている。そのうえ、だれが見てもハンサムだなと感じる憂愁をたたえた顔立ちで、いままでの大きな悩みから解放され、まだ若く、独身でもある。また心の片すみには美しく、悲しい恋の思い出がしまってある。そればかりでなく、ある朝めざめてみると、大ぜいの純真な女性が自宅に押しかけてきて「結婚してくださるわね」と口々に叫ぶ。(P25)

物語の冒頭が上の分です。こんな男なら誰しもがあこがれるこの男の人生とはどんな人生なのか。ブラックユーモアたっぷりの結末が驚きです。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

星さんの創作のポリシーの一つとして「時事風俗と無縁なこと」があり、だからなのか今作も出版から40年以上もたっているのに不思議と古さを感じませでした。

 

1001編以上の作品を残し、「ショートショートの神様」といわれた星新一さん。結構ブラックだし、好き嫌いは分かれそうな作家さんですが、短い話なので立ち読みでも何でも良いので、本好きなら一度は読んでみるべきってことで、おすすめ度は星四つです。

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