おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『珈琲店タレーランの事件簿5』 岡崎琢磨 シリーズ最高傑作

   

書評的な読書感想文209

『珈琲店タレーランの事件簿5 この鴛鴦茶がおいしくなりますように』(文庫)

おすすめ度☆☆☆☆(星数別索引&説明

岡崎琢磨(作家別索引

宝島社文庫 2016年11月

ミステリー ラノベ(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

日常ミステリーにコーヒーのうんちく、京都の風物とらしさはしっかりとありました。その上で、源氏物語になぞらえた人間ドラマが楽しめます。連作短編集の形式もはまってますし、シリーズで一番の面白さです。

 

 

あらすじ

アオヤマが理想のコーヒーを探し求めるきっかけとなった女性・眞子。11年ぶりに偶然の再会を果たした初恋の彼女は、なにか悩みを抱えているようだった。後ろめたさを覚えながらも、アオヤマは眞子とともに珈琲店《タレーラン》を訪れ、女性バリスタ・切間美星に引き合わせるが……。眞子に隠された秘密を解く鍵は――源氏物語。王朝物語ゆかりの地を舞台に、美星の推理が冴えわたる!(作品紹介より)

 

 

「タレーラン」シリーズ第五弾

おなじみ「今好きな作家で打線を組んでみた」で投手陣の中継ぎに入っている岡崎さんの作品。以前紹介した『珈琲店タレーランの事件簿』『珈琲店タレーランの事件簿2』『珈琲店タレーランの事件簿3』『珈琲店タレーランの事件簿4』の続編です。やっとでました第五弾、発売即購入して読みました。

 

以前の作品と内容的なつながりは薄いのでこの巻から読んでも話は理解できますが、流石に5冊も出ているシリーズ物なので、初めから読んだほうが楽しめると思います。

 

 

「らしさ」の復活

第三弾はシリーズは初の長編、第四弾は初のスピンオフと毛色の違った作品が続きましたが、今回は初期と同じ連作短編集の形式で「らしさ」が戻ったのかなと思いました。もちろんこのシリーズの特徴である、日常ミステリー、コーヒーのうんちく、京都の風物が取り上げられていてそこも「らしい」所かなと思います。

 

ちなみに、サブタイトルになっている鴛鴦茶とはコーヒーと紅茶を混ぜ、そこに無糖練乳と砂糖を入れた香港のお茶のことです。よく知る材料を使っていますが、まったく味の想像がつかないのでいつか飲んで見たいと思います。また、鴛鴦とはおしどりのことで、この鴛鴦茶はいろいろな意味で物語のキーになります。

 

 

「らしく」ないところも

今回の物語はこのシリーズの語り手であるアオヤマと彼がコーヒーの素晴らしさに目覚めるきっかけを与えた初恋の人、眞子の物語が中心です。連作短編集の全体を貫く物語は古典の名作『源氏物語』の宇治十帖になぞらえた物語になってて、このシリーズでは珍しくしっかりと人間ドラマが描かれていてます。

 

その分、美星とミステリー要素はやや少なめで(といっても、6章ある話で毎回何らかの推理は披露しています)、その辺「らしく」ない部分かなと思います。

 

ちなみに私は『あさきゆめみし』を紹介したときにも書きましたが、卒論で『源氏物語』を研究したので、今回の話はかなり興味深く読めました。『源氏物語』の結末についいての解釈などが作中で述べられてたりもして「なるほど」と思わされました。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

このシリーズを紹介するときは、好きだ好きだといいつつ毎回かなり批判的なことを書きましたが、今回は気になることがほとんどありませんでした。唯一ゲストキャラの眞子の行動原理が共感しにくい感じはしましたが、いつも嫌いだといっていたアオヤマは今回は特に気になりませんでした。

 

ミステリー要素がやや弱めですが、その分人間ドラマがしっかり描かれたシリーズ最高傑作ってことで、おすすめ度もこのシリーズ最高の星四つです。

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