おすすめ本の輪

小説のレビューというか書評的な読書感想文みたいなのを書いてきます。

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『起終点駅(ターミナル)』 桜木紫乃 テーマは「無縁」

   

書評的な読書感想文208

『起終点駅(ターミナル)』(文庫)

おすすめ度☆☆☆(星数別索引&説明

桜木紫乃(作家別索引

小学館文庫 2015年3月

お仕事 人間ドラマ(ジャンル別索引

 

 

おすすめポイントを百文字で

「無縁」がテーマ短編集。北海道のあまりパッとしない街が舞台のことが多く、テーマも相まって決して明るい話ではないです。ただ、だからこそ小さな希望が暖かく感じられます。それと、やっぱり女性は強い。

 

あらすじ

鷲田完治が道東の釧路で法律事務所を開いてから三十年が経った。国選の弁護だけを引き受ける鷲田にとって、釧路地方裁判所刑事法廷、椎名敦子三十歳の覚醒剤使用事件は、九月に入って最初の仕事だった(表題作「起終点駅」)。久保田千鶴子は札幌駅からバスで五時間揺られ、故郷の天塩に辿り着いた。弟の正次はかつてこの町で強盗殺人を犯し、拘留二日目に自殺した。正次の死後、町を出ていくよう千鶴子を説得したのは、母の友人である星野たみ子だった(「潮風の家」)。北海道各地を舞台に、現代人の孤独とその先にある光を描いた短編集を、映画化と同時に文庫化!(作品紹介より)

 

 

テーマは「無縁」

以前紹介した『ホテルローヤル』の作者の桜木紫乃さんの短編集。解説に

雑誌「STORY BOX」に不定期掲載で連載されたこの六篇に共通するのは、他作品同様北海道のどこかが舞台であることのほかに、身寄りのない人が登場し、時に彼らの死が描かれている点である。それもそのはず、雑誌掲載時のタイトルは「無縁」だった。(P280,281)

とあるように、テーマは「無縁」です。

 

ただ、「無縁」=身寄りがない人ではありますが、人とのつながりはあって孤独ではなかったりします。むしろ、家族がいるのに孤独な登場人物が出てきたりもします。人とのつながりを考えさせられる作品です。

 

 

物語の舞台は北海道

物語はどれも北海道のある場所なのですが、どの話の舞台もあまりパッとしないというか、決して明るい雰囲気がたっだよう場所ではありません。上に書いた物語のテーマともあいまって、決して明るい話にはなっていません。ただ、だからこそ物語の最後にともされるちょっとした希望が暖かく感じられたりもします。

 

 

女性は強い

無縁だったり孤独だったりする登場人物が多い物語ですが、多くの場合、女性は前向きに生き、男性は死んでしまったり、後ろ向きな生き方になっています。

男はひとりでいると、いろいろと内側に向って自分を掘り進めてしまうようだった。あるときから先、反省を始めてしまうのだ。その点女はたくましかった。(P271)

なんて、作中で書いてあることが象徴していると思います。

 

これを踏まえるとこの物語のテーマは「孤独な女性の生き様」なのかなと思ったりしました。

 

 

書評的な読書感想文のまとめ

物語の全体の印象は『ホテルローヤル』に近いかなと思います。なので、『ホテルローヤル』を読んで気に入った人にはおすすめです。ただ、明るい話ではないので、万人にはおすすめできないってことで星三つです。

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